横浜市長のパワハラ問題を受けた百条委員会の設置議案に、なぜ反対したのか―調査の実効性と被害者救済への責任
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。


9月25日、横浜市会の令和8年第3回定例会の最終日の本会議で、いわゆる「百条委員会」の設置を含む議案が採決されました。私は、この議案に反対しました。
百条委員会の開催を求めながら、なぜ反対したのか。そうした疑問やご意見をいただいています。自分の判断について、私自身の言葉で説明します。
百条委員会による調査の必要性そのものを否定しているわけではありません。ただ、あの時点で設置し、実効性のある調査を進め、被害者の救済につながる成果まで責任を持って運営できるのか。そこを考えた結果、賛成することはできませんでした。
どのような議案だったのか
対象は、議第10号議案「山中竹春前市長のパワー・ハラスメントによる被害者の救済に向けた実態及び救済措置の調査に関する決議」です。
議案では、①パワー・ハラスメントによる不当な人事と組織への悪影響の実態、②被害者救済に向けた措置の在り方を調査事項とし、委員15人、委員長1人、副委員長2人の特別委員会を設置することなどが定められていました。
採決の結果は、賛成15人、反対70人で否決。私も、日本維新の会の他の議員とともに反対しました。
9月25日・議第10号議案の採決結果
賛成 15人 反対 70人
結果:否決/柏原すぐる:反対
横浜市会の公式賛否一覧を基に整理。色はこの記事での表示です。
議第10号議案の全文(PDF) / 本会議の議員別賛否一覧(PDF)
設置後に、何を、どこまで明らかにするのか
百条委員会は、地方自治法第100条に基づく調査を行う議会の重要な手段です。その権限を使って、通常の質疑では確認しきれない事実に迫れる可能性があります。
だからこそ、設置した後の運営まで考える必要があります。委員と正副委員長を選び、調査の進め方を協議し、必要な資料を集め、関係者を招致し、証言や資料を検証し、結果をまとめる。設置の採決は、その出発点です。
議案には調査事項が示されています。そのうえで私が考えたのは、具体的に何を明らかにするのか、どのような成果をもって調査を終えるのか、救済の提案をどう実際の措置につなげるのかという点です。
例えば、証人から「記憶にない」と回答された場合に、どの資料や他の証言と照合して検証するのか。副市長などの関係者に話を聞けば新たな事実が明らかになる可能性はありますが、短期間でどこまで進められるかは、設置するだけでは見通せません。
被害を受けた職員の方が、公の場で自らの経験を話すことには大きな負担も伴います。調査への協力を求める際には、本人の意向、プライバシー、心身の状態への配慮が欠かせません。被害者の救済を目的とする以上、その過程にも責任を持つ必要があります。
調査には、準備と時間が必要です
第三者調査でも、弁護士が関係者への聞き取りや資料の確認を4ヶ月半に渡って積み重ねています。事実関係の検証は、一朝一夕にできるものではありません。
百条委員会は議会が調査するもので、外部委託が必須というわけではありません。ただ、調査を支える専門家の関与や外部への委託が必要になれば、その範囲、内容、期間、費用を詰め、必要な手続きを進めることになります。委託する場合には仕様書の作成や契約手続き、その後は執行部である横浜市役所の協力も得ながら進める調査にも時間がかかります。
当時はすでに市長選挙が予定され、前市長の再出馬も想定される状況でした。この時期に議会としてどう調査を進めるのか。選挙日程とは別に、事実を丁寧に検証し、救済につなげる体制を組めるのか。そうした点まで考える必要があると感じました。
「自分が委員長だったら」と考えました
私が判断する際に自分に問いかけたのは、「仮に自分が委員長を担うとしたら、責任を持ってこの委員会を運営できるのか」ということです。
自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、共産党、無所属の議員など、立場の異なる皆さんと協議・調整しながら、調査の方針、招致する関係者、問いかける内容、結果のまとめ方について合意をつくり、実効性を確保する必要があります。
会派として判断をまとめることと、議員個人の責任
また、会派として議論し、判断をまとめるという、組織としての論理があることも事実です。私個人の考えだけで、今回の判断のすべてを説明できるわけではありません。
仮に横浜市会の議員全員が無所属になったとしても、その中にまた一定のまとまりが生まれるだろうと私は考えています。議会は合議制であり、提案を実現するには賛成多数を得る必要があるからです。政策や判断の近い議員が協議し、協力して多数の合意をつくろうとすれば、結果としてグループが形成されることになります。
だからこそ、会派の中でどのように議論し、何を共有して結論に至るのかが大切だと考えます。そして、会派として結論をまとめても、自らの一票について説明する責任は、議員一人ひとりにあります。今回も、会派としての判断と、私自身が実効性や運営への責任をどう考えたか、その両方を踏まえて反対しました。
個人の考えで言えば、あの時点で、それを自分が責任を持ってやり切れるかと問われれば、正直に言って難しいと判断しました。
これは、賛成した議員の皆さんに覚悟がないという意味ではありません。賛成された方の問題意識や、さらなる調査を求める市民の思いは重く受け止めています。そのうえで、私は自分自身の責任として、必要だと感じることと、今この体制で成果につなげられることの両方を考えました。
議案が出たから、必要性を感じるから、という理由だけで賛成することはできませんでした。
市長不在でも、進めるべきことは進める
私たちが横浜市に求めているのは、市長不在の中でも、できることは着実に進めることです。被害を受けた職員の回復に向けた支援、安心して働ける環境の確保、相談体制の強化、再発防止の仕組みづくりは、待たせるべきではありません。
9月24日には、私たちが提出した緊急要望に対する回答を、松浦副市長と原田行財政局長から受け取りました。市の対応状況を確認しながら、被害者への支援や再発防止策を具体的に進めるよう求めています。
第三者的な相談窓口の整備や、特別職によるハラスメントを防ぐ条例の整備なども、引き続き進めるべき課題です。条例の骨子案づくりも進めています。
新市長就任後も、状況を確認して判断します
まずは混乱の中でも、執行部に被害者支援と再発防止を着実に進めてもらう。その進捗を議会として確認し、新市長を迎えた後も、明らかになっていない事実や、なお必要な救済措置がないかを確かめていく。そのうえで、百条委員会を含め、どのような調査手段が必要かを改めて判断する。これが、今回の私の考えです。
新市長が誕生すれば、それだけで問題が解決するとは考えていません。必要な準備と体制を議会として整え、私自身も責任を持って取り組める見通しをつくることができれば、調査を進める判断もしていきます。
今回の反対は、その時点の準備と実行体制を踏まえた判断です。被害を受けた職員の救済と、市民の信頼を取り戻すために、今進められることを進め、その結果を確かめながら次の判断につなげていきます。
これからも、一つひとつの判断とその理由を、自分の言葉でお伝えしてまいります。ご意見やご相談をお寄せください。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団
柏原すぐる

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