【横浜市会】健康福祉局の予算審査で質問しました高齢者施策・敬老パス・介護人材確保について質疑
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

令和8年第1回定例会の予算第一特別委員会において、健康福祉局に対する質疑に立ちました。
今回取り上げたテーマは、主に次の3点です。
・高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施
・敬老パス制度の持続可能性と公平性
・介護現場における人材確保
いずれも、高齢化が進む横浜市にとって避けて通れない課題です。単に制度を維持するだけではなく、本当に効果があるのか、持続可能なのか、市民に説明できる制度になっているのか、という観点から質問しました。
■ 1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施
効果測定をどう行うのか
最初に取り上げたのは、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業です。
横浜市は来年度、健診・医療・要介護認定などのデータを活用し、フレイルなどのリスクが高い高齢者に働きかける取組を18区で展開していくとしています。私はこの事業そのものを否定するのではなく、「効果をどう測るのか」が極めて重要だと考え、そこに焦点を当てて質問しました。
市の答弁では、現在の「ハマプロ」における効果測定は、支援の開始時と終了時に、参加者の生活状況や健康状態を基本チェックリストで確認し、その前後を比較することで状態の変化を把握しているとのことでした。具体的には、運動機能、栄養状態、口腔機能などを確認し、支援前後で比較しているという説明でした。
また、参加者の状況把握についても、基本チェックリストに本人が記入し、その前後差を効果として捉えている、という答弁でした。つまり、現時点では、本人の回答による把握がベースになっていることが明らかになりました。
さらに私が確認したところ、健診データ、医療レセプト、要介護認定情報などのデータは、現状では対象者の抽出に使っているとの答弁でした。つまり、対象者を見つける段階ではデータを使っていても、効果測定そのものには十分活かしきれていない状況がうかがえます。
これに対して私は、主観的なアンケートだけに頼るのではなく、医療・介護データも使った客観的な効果測定を行うべきではないかと提案しました。
これに対する市の答弁は、一定程度前向きなものでした。基本チェックリストによる本人の健康状態把握に加えて、健診情報、医療レセプト、要介護認定情報など、客観性の高いデータを活用することも重要であるとした上で、研究機関と連携しながら評価手法を検討しており、受診行動や健診結果の変化、生活機能の維持といった効果を把握していきたい、さらに参加者と非参加者のデータ比較によって、より実証性の高い効果検証につなげていきたい、との考えが示されました。
また局長からは、受診行動の変化などは比較的早期に表れる可能性がある一方で、健診結果の改善や生活機能の維持といった効果は短期間では十分に把握しにくい面があるため、数年にわたる経年的なデータ分析が必要との認識が示されました。そして、中長期的に効果を見極め、支援内容の改善に活かしていきたいとの答弁でした。
私は、こうした方向性自体は理解しつつも、「経年的に見ていく」というだけでは、結論が先送りされ続ける懸念があると感じています。だからこそ、いつまでに、何を、どの指標で見て、どう政策判断につなげるのかを、行政としてより明確に示す必要があると考えています。
■ 介護事業所の取組をどう評価するか
あわせて、介護事業所の取組を評価し、要介護度の改善・維持につなげる仕組みについても取り上げました。
私は、川崎市の「かわさき健幸福寿プロジェクト」のように、要介護度等の改善・維持に寄与した介護事業所の取組が報われる仕組みについて、横浜でも検討すべきではないかと提案しました。
これに対し局長は、川崎市の取組については承知しており、興味深い取組であるとの認識を示しました。一方で、参加者が限られていることなどから、給付費全体の抑制という点では効果が限定的であるとの見解も示しました。その上で横浜市としては、地域の通いの場やフレイル予防教室への参加などを通じて、できる限り多くの高齢者を対象とした介護予防の取組を充実させていきたい、という答弁でした。
つまり市としては、特定の事業所にインセンティブを与える制度よりも、まずは裾野の広い介護予防施策を重視するという考え方です。私は、こうした考え方も理解しつつ、今後はデータに基づいて成果を見える化し、成果を上げた取組が適切に評価される仕組みも引き続き検討すべきだと考えています。
■ 2.敬老パス
負担金単価の見直しと制度全体の課題
次に、敬老パス制度について質問しました。
新年度予算では、バス事業者に支払う負担金単価が135円から141円に見直されます。私は、この見直しがどういうプロセスと根拠で行われたのかを確認しました。
これに対し局長は、これまでのバス協会からの要望、令和7年度予算議決時の附帯意見、各バス事業者の運賃改定状況などを踏まえ、バス協会と意見交換を行い、庁内で検討を進めてきたと説明しました。そのうえで、今回の141円という単価は、各バス事業者の運賃と敬老パスの利用回数による加重平均を基準運賃とし、一定の割引率と事務負担の割合を乗じて算出したものだと答弁しました。
また、なぜ今回、制度全体ではなくバス事業者負担金単価だけを先行して見直したのかについては、運転手不足や燃料費高騰など、バス事業者の厳しい経営環境を背景とした要望や、各社の運賃改定状況を踏まえたものだと説明されました。
この点について私は、確かにバス事業者の経営環境への配慮は必要だとしても、敬老パス制度そのものについては以前から、利用者負担のあり方、応能負担の強化、応益負担や上限設定、本市・交通事業者・利用者の3者の適正負担といった論点が既に整理されてきたと認識しています。それにもかかわらず、制度全体の見直しは先送りされ、今回も一部だけの修正にとどまっている点は大きな課題です。
■ 工程表を示すべきではないか
そこで私は、敬老パス見直しに向けた検討の工程表を示すべきではないかと質しました。
これに対し局長は、現在、モニター調査や市民アンケートに加えて、介護保険データや敬老パス利用実績データなど、効果検証に必要なデータの収集を進めていると答弁しました。今後はそれらをもとに、介護予防効果、社会参加促進効果、経済効果など、さまざまな観点から総合的な効果検証を行う予定であり、検証結果はできる限り早期に伝えたい、その後、より良い制度となるよう検討を進める、という答弁でした。
ただ、ここで示されたのは「検証する」という方向性であって、いつまでに何を出すのかという具体的な工程までは示されていません。私は、重要な制度であるからこそ、曖昧なまま先送りせず、期限と判断基準を置いて議論すべきだと考えています。
■ 多数回利用への対応
また、敬老パスについては、利用実態の公平性も大きな論点です。委員会資料では、約1割の利用者が全体の利用回数の約4割を占めていることが示されていました。
この点について、上限回数の設定や応益負担など、多数回利用への対応をどう考えるのかを質しました。
局長は、利用回数に大きな差があることは認識しており、今後の効果検証の中で多数回利用の状況についてもしっかり分析し、制度検討に活かしていきたいと答弁しました。
つまり、市も実態としての偏りは把握しているものの、現時点では具体的な制度見直し案までは示していない状況です。今後は、利用実態の分析結果をどう制度設計に結びつけるのかが問われます。
■ 介護予防効果をどう分析するのか
さらに私は、敬老パスの介護予防効果をどう分析し、制度設計にどう結びつけるのか、具体的な分析設計を確認しました。
局長は、精緻な分析を行うためには、まず複数年にわたるデータ収集が必要との考えを示しました。その上で、敬老パス保有者と未保有者を比較し、敬老パス利用による外出頻度の増加などの行動変容や、保有者の利用回数が要介護認定率に与える影響などを分析したいと答弁しました。さらに、その先にある将来的な介護給付費の抑制効果も評価し、検証結果を今後の制度検討に活かしたいとの考えが示されました。
この答弁からは、市として敬老パスを単なる福祉給付としてではなく、外出促進や介護予防との関係まで含めて捉えようとしていることは分かります。一方で、比較対象をどう設定するのか、何年分のデータを使うのか、どの指標をもって制度改正につなげるのかなど、なお詰めるべき論点は多いと感じています。
■ 3.介護現場における人材確保
これまでの取組と今後の課題
最後に、介護現場における人材確保について取り上げました。
介護分野では、採用・定着の難しさに加え、現場負担の増加など、構造的な課題が重なっています。そこでまず、これまでの市の取組に対する課題認識を質しました。
市の答弁では、これまで、資格取得から就労までの一体的支援、外国人介護人材の確保、介護ロボット・ICT導入支援、ハラスメント相談窓口の設置など、さまざまな施策に取り組んできたと説明がありました。そして、こうした取組により、人材の確保や定着に一定の成果は得られているとしつつも、急速な高齢化による介護ニーズの増加と、生産年齢人口の減少の中で、人材不足は依然として解消されていないとの認識が示されました。そのため今後は、担い手の裾野を広げることや、働きやすい環境づくりを進めることがますます重要になる、という答弁でした。
この答弁は、現場の実態に比較的率直に向き合ったものだったと受け止めています。人材確保は、単に求人を増やせば解決する話ではなく、介護現場をどう支え、どう多様な人材が関われる形にしていくかが重要です。
■ 新年度に何を重点化するのか
続いて、来年度の重点施策について確認しました。
市は、令和8年度について、魅力発信サイトのコンテンツ充実による若年層へのアプローチ強化、入門的研修や初任者研修の受講機会の拡充、外国人介護人材への支援の充実、介護ロボットやICT機器等の導入補助額等の拡充などに取り組むと答弁しました。こうした多角的な取組を着実に進めながら、今後も介護人材の確保に努めていくとのことでした。
ここからは、市としても従来施策を単に継続するのではなく、一定の拡充を図ろうとしていることがうかがえます。一方で、介護人材不足が構造的課題である以上、既存施策の延長だけでなく、新たな入口をどう広げるかも重要です。
■ 有償ボランティアマッチングの可能性
そこで私は、新たな担い手の確保策として、民間の有償ボランティアマッチングサービスの活用可能性を提案しました。
介護の仕事には、専門職が担うべき業務だけでなく、見守り、レクリエーション、周辺業務など、地域の方や介護未経験者でも関われる業務があります。こうした業務の切り分けが進めば、介護職員の負担軽減にもつながり、同時に地域との接点も広がります。
これに対し局長は、介護現場における見守りやレクリエーションなどの周辺業務を地域の方々に担っていただくことは、現場の負担軽減だけでなく、介護事業所と地域との交流促進にも有効であるとの認識を示しました。そのうえで、市としてはこれまでも介護ボランティアポイント制度など、多様なスキルを活かした取組を進めてきており、介護事業所と有償ボランティアをつなぐ民間マッチングサービスについても、その有効性や今後の活用可能性を含めて研究を進めていきたい、と答弁しました。
この答弁は、導入を即断したものではありませんが、少なくとも市がこの分野を研究対象として認識した点は前進です。今後、国のモデル事業や他都市の先行事例も踏まえながら、横浜としてどう具体化していけるかが重要になると考えています。
■ おわりに
今回の健康福祉局審査では、
・介護予防施策の効果をどう客観的に測るのか
・敬老パスをどう持続可能で公平な制度にしていくのか
・介護人材不足にどう向き合い、新たな担い手を広げるのか
といった点を中心に議論しました。
高齢化が進む中で、福祉の充実はもちろん大切です。しかし同時に、制度の効果検証、持続可能性、公平性を曖昧にしたままでは、将来世代に責任ある政策にはなりません。
だからこそ私は、
「良い制度だから守る」のではなく、
本当に必要な制度を、より良い形に見直しながら守っていく、
という姿勢で、引き続き議会で取り組んでまいります。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる

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