【視察報告】横浜市の5歳児健診導入に向けて~神戸市の個別健診方式による取組準備を視察しました~
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

以下、視察報告です。
はじめに
2026年6月24日、日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会として、神戸市における5歳児健康診査の取組について視察を行いました。
横浜市においても、就学前の子どもたちの発達や家庭の困りごとを早期に把握し、必要な支援につなげる仕組みづくりは重要な課題です。
特に5歳前後は、小学校入学を見据え、集団生活での困りごとや発達面の不安、保護者の悩みなどが見えやすくなる時期です。
今回の視察では、神戸市がどのように5歳児健診の制度設計を進めているのか、医療機関や教育委員会、療育機関との連携をどのように構築しているのかについて説明を受けました。
視察先
神戸市
5歳児健康診査に関する担当部署
主な視察テーマは、以下の通りです。
・5歳児健診の導入経緯
・個別健診方式を採用した理由
・医師会、医療機関との調整
・健診後のフォローアップ体制
・教育委員会、保育園、幼稚園、療育機関との連携
・検討委員会を通じた透明性ある制度設計
・横浜市での導入に向けた課題整理
視察内容
1 神戸市における5歳児健診の導入経緯
神戸市では、国の方針を踏まえ、出産後から就学前まで切れ目なく子どもの成長を確認し、必要な支援につなげる体制整備を進めています。
その一環として、5歳児健康診査の実施に向けた検討を行ってきました。
検討にあたっては、神戸大学、医師会、療育センター、教育委員会、保育関係部署、障害福祉部門などが関わり、複数回の検討委員会を重ねながら制度設計を進めてきたとのことです。
横浜市でも5歳児健診の導入が議論される中で、関係機関が早い段階から検討に加わり、実施方式やフォローアップ体制を具体的に整理している点は、大変参考になりました。
神戸市母子保健事業検討委員会
https://www.city.kobe.lg.jp/a86732/boshikaigi.html
2 個別健診方式の採用
神戸市では、5歳児健診について、指定医療機関で受診する「個別健診方式」を採用する方向で準備が進められています。
集団健診方式ではなく個別健診方式とすることで、保護者が受診しやすい医療機関を選べること、医療機関側も自院の予約枠の中で対応しやすいことなどがメリットとして整理されていました。
一方で、個別健診方式では、健診結果をどのように行政や関係機関につなげるかが大きな課題になります。
そのため神戸市では、健診を受けて終わりにするのではなく、必要に応じてカンファレンスを行い、児童相談所、教育センター、療育センター、子ども家庭センターなどにつなげる体制を検討しています。
3 単なる「発達障害の確認」ではない健診
今回の視察で特に印象的だったのは、神戸市が5歳児健診を、単に発達障害の有無を確認する健診としてではなく、子どもと家庭を必要な支援につなげる入口として位置づけている点です。
医療機関との協議の中では、当初「発達に心配がある子どもだけが受ければよいのではないか」という受け止めもあったとのことです。
しかし、行政としては、発達面だけでなく、虐待予防、家庭の孤立、保護者の不安、就学前の困りごとなども含めて、すべての子どもと家庭を支援につなげる機会として実施したいという考えが示されていました。
この視点は、横浜市においても非常に重要です。
5歳児健診は、医療的なチェックだけではなく、子どもと家庭を社会全体で支えるための仕組みとして設計する必要があります。
4 健診後のフォローアップ体制
神戸市では、健診結果をもとに、必要に応じてカンファレンスを実施し、関係機関につなげる仕組みが検討されています。
また、受診が確認できない場合には再勧奨を行うなど、抜け漏れを防ぐ取組も予定されています。
5歳児健診で最も重要なのは、健診を実施すること自体ではなく、その後の支援につなげることです。
健診によって把握された困りごとを、どの機関が受け止め、どのような基準で支援につなげ、誰が継続的にフォローするのか。
このフォローアップ体制こそが、制度の実効性を左右します。

5 就学相談・園との連携
5歳児健診は、小学校入学前の時期に実施されるため、教育委員会が行う就学相談との接続も重要です。
神戸市では、健診結果がそのまま教育委員会に共有されるわけではなく、個人情報保護の観点から、保護者が必要に応じて健診結果を就学相談に持参する形が基本とされています。
また、保育園や幼稚園などの園との連携も重要な論点です。
園では、日々の集団生活の中で、子どもの様子を継続的に見ています。保護者の同意を前提に、園が把握している情報を健診や相談支援につなげることができれば、より早く、より適切な支援につながる可能性があります。
横浜市でも、健診、園、教育委員会、福祉部門がそれぞれ別々に動くのではなく、保護者の理解と同意を得ながら、子どもを中心に連携する仕組みが求められます。
6 検討委員会を通じた透明性あるプロセス
神戸市では、5歳児健診の実施に向けて、検討委員会を通じた議論が行われており、その資料も公開されています。
また、議員も検討委員会を傍聴することが可能とのことで、制度設計の過程が比較的オープンに進められていることが分かりました。
5歳児健診は、医療、福祉、教育、保育など多くの関係者が関わる制度です。
だからこそ、どのような目的で実施するのか、どの方式を採用するのか、健診後にどのような支援につなげるのかについて、関係者だけでなく、議会や市民にも見える形で検討を進めることが重要です。
神戸市の取組からは、制度を急いで導入するだけでなく、関係機関との合意形成を重ねながら、透明性を持って準備を進めている姿勢を感じました。
この点は、横浜市としても大いに学ぶべき点だと考えます。
質疑応答
質問1 なぜ個別健診方式を採用したのか
神戸市では、集団健診方式や園での実施など、複数の方式を比較検討したうえで、指定医療機関での個別健診方式を採用する方向となりました。
個別健診方式は、保護者が医療機関を選びやすく、医師側も自院の予約枠の中で対応できるという利点があります。
一方で、個別健診の場合は、健診後の情報共有や支援への接続が課題となるため、カンファレンスや関係機関との連携体制を整えることが重要になります。
質問2 医療機関との調整で課題となった点は何か
医療機関との協議では、5歳児健診が「発達障害を確認するための健診」と受け止められがちだったことが課題として挙げられました。
神戸市としては、5歳児健診を、発達面だけでなく、家庭の困りごとや虐待予防、保護者の不安も含めて、支援につなげるための健診として位置づけています。
この認識を医療機関と共有することが、制度設計上の重要なポイントであると感じました。
質問3 健診結果は教育委員会に共有されるのか
健診結果がそのまま教育委員会に共有されるわけではありません。
個人情報保護の観点から、保護者が必要に応じて健診結果を就学相談に持参する形が基本とされています。
一方で、保護者の同意がある場合には、保育園や幼稚園などの園と連携し、支援が必要な子どもについて情報共有を行うことも想定されています。
質問4 健診後の支援につながったかどうかをどう検証するのか
神戸市では、5歳児健診によって新たに支援につながった子どもの人数や、これまで支援につながっていた子どもへのフォローアップとして機能したかどうかを検証していく方針が示されました。
制度を始めるだけでなく、実際にどれだけ支援につながったのかを継続的に確認し、改善していく姿勢が重要です。
質問5 検討プロセスはどのように公開されているのか
神戸市では、5歳児健診の検討に関する委員会資料がホームページで公開されており、議論の経過を確認できる形になっています。
また、議員も検討委員会を傍聴できるとのことで、制度設計の過程がオープンに進められている点が特徴的でした。
横浜市においても、医師会や関係機関との調整を丁寧に行うことは当然重要ですが、それに加えて、検討状況を市民や議会に分かりやすく示し、透明性を高めることが求められます。
感想・考察
横浜市に必要なのは「健診後の支援設計」
今回の視察を通じて、横浜市で5歳児健診を導入する際に最も重要なのは、健診そのものよりも、その後の支援設計であると感じました。
健診を実施しても、結果が保護者に返されるだけで終わってしまえば、制度の効果は限定的です。
支援が必要な子どもや家庭をどのように把握し、誰が受け止め、どの機関につなぐのか。
この流れを制度として明確にしておく必要があります。
医療・福祉・教育・保育の連携が不可欠
5歳児健診は、医療だけで完結する事業ではありません。
発達支援、子育て支援、虐待予防、就学相談、園との連携など、多くの分野に関わります。
そのため、横浜市でも、こども青少年局、医療局、教育委員会、区役所、園、医師会、療育機関などが連携し、制度設計を進める必要があります。
特に、個人情報の扱いについては、保護者の同意を前提にしながらも、支援につながる実効性のある運用を検討すべきです。
透明性ある検討プロセスが重要
神戸市では、検討委員会を通じてオープンに議論が行われ、資料も公開されています。
さらに、議員も検討委員会を傍聴できるとのことで、制度設計の過程における透明性が高いと感じました。
5歳児健診のように、子ども、家庭、医療機関、園、教育委員会、福祉部門など多くの関係者に関わる制度では、検討過程の透明性が信頼につながります。
横浜市においても、関係機関との調整を水面下で進めるだけでなく、どのような課題があり、どのような選択肢を比較し、どのような理由で制度設計を行うのかを、議会や市民に分かりやすく示す必要があります。
この点は、神戸市から大いに学ぶべきポイントです。
制度導入後の検証が重要
神戸市の説明では、健診によって新たに支援につながった子どもの人数を検証していくという考え方が示されました。
これは横浜市にとっても重要です。
5歳児健診を導入するのであれば、受診率だけでなく、支援につながった件数、相談につながった件数、就学相談との接続状況、保護者の満足度、医療機関の負担などを検証し、制度改善につなげていく必要があります。
まとめ
今回の神戸市視察では、5歳児健診を単なる健康診査としてではなく、就学前の子どもと家庭を必要な支援につなげる仕組みとして捉えることの重要性を学びました。
横浜市においても、5歳児健診の導入を検討する際には、実施方式だけでなく、健診後のカンファレンス、園や教育委員会との連携、保護者の同意に基づく情報共有、医療機関との協力体制、そして導入後の検証までを一体的に設計する必要があります。
加えて、神戸市では検討委員会を通じてオープンに議論が行われ、議員も傍聴できるなど、検討プロセスの透明性が高い点が印象的でした。
制度の中身だけでなく、どのように議論し、どのように合意形成を進め、どのように市民や議会に情報を示していくのか。
この準備の進め方についても、横浜市として大いに学ぶ点があると感じました。
子どもたちが小学校入学前に必要な支援につながり、保護者が孤立せず安心して相談できる仕組みをつくることは、横浜市にとっても重要な課題です。
神戸市の取組を参考にしながら、横浜市でも実効性と透明性のある5歳児健診の実現に向けて、引き続き議会の場で提案してまいります。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる

LINE公式アカウントで情報発信やご意見・問い合わせの受付を行っています。
ぜひお友達に追加してみてください。
へのフォローもよろしくお願いします。
日頃は、桜木町駅すぐそばにある横浜市役所6階にある議員室にいます。アクセスはこちら。
気軽にコンタクトくださいませ。
