【視察報告】大阪・関西万博の取組・効果・レガシーを学ぶ― 横浜グリーンエクスポに向けて、横浜市が何を準備すべきか
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。
はじめに
大阪市を訪問し、大阪・関西万博の開催に向けた推進体制、予算管理、交通対策、機運醸成、レガシーの継承について説明を受けました。
横浜市では、2027年に横浜グリーンエキスポの開催が予定されています。大規模イベントを一過性のものにせず、地域経済、国際交流、子どもたちの学び、まちづくりにどうつなげていくかは、横浜市政にとっても大きなテーマです。
今回の視察では、大阪・関西万博の取組を通じて、横浜市が横浜グリーンエキスポに向けて学ぶべき点を確認しました。

視察先
視察先
大阪市
説明者
大阪市政策企画室、経済戦略局ほか関係部局
視察テーマ
大阪・関西万博の開催にかかる取組及びレガシーの推進について
視察内容
視察全体のポイント
大阪市では、大阪府と共同で万博推進局を設置し、会場整備、運営、交通、広報、参加促進、レガシーの継承など、幅広い分野を横断的に進めてきました。
特に印象的だったのは、単にイベントを開催するだけではなく、費用の透明性、交通需要への対応、市民や子どもたちの参加、開催後の経済波及効果や都市のイメージ向上まで見据えていた点です。
横浜市においても、横浜グリーンエキスポを成功させるためには、会場整備やイベント運営だけでなく、市民参加、交通対策、情報発信、開催後のレガシーづくりを一体的に考える必要があります。
1.推進体制と予算管理
大阪市では、大阪府と共同で万博推進局を設置し、開催に向けた課題を部会ごとに整理しながら対応してきました。
会期中は、早番・遅番の2交代制により、朝から夜まで連絡体制を確保し、会場内外の状況を把握する仕組みがつくられていました。大規模イベントでは、日々発生する課題に迅速に対応できる体制が重要であることを改めて感じました。

また、会場建設費は最大2350億円規模となり、国、大阪府、大阪市がそれぞれ3分の1ずつ負担する方針で進められました。大阪市の関連予算としては、会場建設費の負担に加え、インフラ整備、参加促進、機運醸成などを含め、令和8年度までに最大1289.7億円が計上されています。

費用の全体像が分かりにくいという指摘を受け、関連費用を整理し、毎年更新・公表する体制をとったことも重要な点です。大規模事業では、市民に対して「何に、どれだけの費用がかかっているのか」を分かりやすく示すことが欠かせません。
さらに、万博予算執行監視委員会や協会内の執行管理会議、CFOの配置などにより、予算執行を確認する仕組みも設けられていました。

横浜市においても、横浜グリーンエキスポに関する費用や執行状況について、市民に分かりやすく説明し、議会としても継続的に確認していく必要があります。
2.交通対策とTDMの取組
大阪・関西万博では、来場者を約2000万人と見込み、会場へのアクセス対策が大きな課題となりました。
特に主要な鉄道路線である大阪メトロ中央線については、列車の増便などにより輸送力を強化しました。また、道路交通についても、大阪市の建設局が監視を行い、会場周辺だけでなく、交通全体の状況を把握する体制が取られていました。
注目すべき取組が、TDMです。
TDMとは「交通需要マネジメント」のことで、混雑が予想される時間帯や場所に人や車が集中しすぎないよう、時差出勤やリモートワーク、別ルート利用などを呼びかける取組です。
大阪市では、企業に対して通勤時間帯を避ける協力を呼びかけ、中央線の混雑率を目標の120%以内に概ね抑えることができたとの説明がありました。
横浜市でも、横浜グリーンエキスポ開催時には、来場者輸送、周辺道路の混雑、地域住民の日常生活への影響などが課題になります。早い段階から交通事業者、企業、地域と連携し、TDMを含めた交通対策を具体化することが重要です。
3.機運醸成と市民参加
大阪市では、ウェブサイトやSNSを活用した情報発信に加え、「明日の万博情報」というページを開設し、イベント情報や最新情報をリアルタイムで発信していました。
また、大阪ウィークなどのイベントに合わせてドローンショーを実施したほか、大阪駅、難波駅、万博記念公園駅などの大階段を活用した装飾、いわゆるストリートドレッシングも行われました。街中で万博の雰囲気を感じられる工夫により、機運醸成を図ったことが特徴です。
さらに、チケット購入がウェブ中心となる中で、デジタルに不慣れな方を支援するため、商業施設や区役所などに「万博チケットサポート」の拠点を設け、対面での購入支援を行いました。
大規模イベントでは、広報を行うだけでは十分ではありません。市民が「自分ごと」として関われる仕組みをどうつくるかが大切です。
横浜グリーンエキスポにおいても、ポスターやホームページだけでなく、駅、商業施設、地域イベント、学校、SNSなどを組み合わせ、市民の関心を段階的に高めていく必要があります。
特に、開幕直前のテストランやインフルエンサー、YouTuberなどによる発信が認知度向上に効果的だったとの説明は、横浜市にとっても参考になります。

質疑応答
Q1.認知度や関心を高める上で、どのようなタイミングが重要だったのか
大阪・関西万博では、開催前から広報を重ねていたものの、内容が具体的に伝わりにくい時期もあったとのことでした。
一方で、開幕直前のテストランをきっかけに、実際の会場の様子や体験内容がSNSや動画で広がり、「行ってみたい」という関心につながったとの説明がありました。
横浜グリーンエキスポでも、開幕前に会場の具体的な魅力をどのように見せるか、体験した人が発信したくなる仕掛けをどうつくるかが重要です。
Q2.インフルエンサーやYouTuberとの連携はどのように行われたのか
万博協会や大阪市の事業の中で、発信力のある方々に会場を体験してもらい、その内容を広げてもらう取組が行われました。
フォロワー数の多い著名な発信者だけでなく、旅系や地域に関心のある発信者など、複数の層に働きかけることも重要だとの説明がありました。
横浜市としても、横浜グリーンエキスポの魅力を伝える際には、行政からの一方的な広報だけでなく、実際に体験した人の言葉や映像で伝わる仕組みを検討すべきです。
Q3.子どもたちの参加や招待事業はどのように行われたのか
大阪・関西万博では、子どもたちが会場を体験できるよう、学校行事としての参加や、希望者へのチケット配布など、自治体ごとにさまざまな形で招待事業が実施されました。
一方で、すべての子どもが参加できたわけではなく、学校単位での参加、家庭での参加、未参加の子どもなど、実態は自治体によって異なるとのことでした。
横浜グリーンエキスポにおいても、子どもたちの学びにつなげるためには、単に招待するだけでなく、事前学習、会場での体験、事後学習を含めた教育的な設計が必要です。
横浜市への示唆
予算と事業の全体像を分かりやすく示すこと
横浜グリーンエキスポは、市民の関心も高い大規模事業です。だからこそ、会場整備費、運営費、交通対策、広報、関連事業などについて、全体像を分かりやすく整理し、継続的に公表していくことが重要です。
大阪市のように、費用の見える化と執行管理の仕組みを明確にすることは、横浜市にとっても大きな学びです。
交通対策は早期に具体化すること
大規模イベントでは、来場者だけでなく、地域住民や通勤・通学者の日常生活にも影響が出ます。
横浜グリーンエキスポでは、会場周辺へのアクセス、鉄道・バスの輸送力、道路混雑、駐車場、シャトルバス、企業への協力要請などを含め、早い段階から交通対策を具体化する必要があります。
TDMの取組は、横浜市でもより積極的に検討すべきです。
機運醸成は段階的に進めること
万博の説明では、認知度を高めるには、早期の広報だけでなく、開幕が近づくにつれて具体的な魅力を伝えていくことが重要だと感じました。
横浜グリーンエキスポでも、単に「開催します」と伝えるだけではなく、どのような体験ができるのか、子どもたちにとって何を学べるのか、横浜の未来にどうつながるのかを、段階的に発信していく必要があります。
レガシーを開催前から設計すること
レガシーとは、イベント終了後に残る価値のことです。
大阪・関西万博では、経済波及効果、国際交流、技術発信、スタートアップ支援、都市イメージの向上など、開催後の効果についても議論されていました。
横浜グリーンエキスポでも、花と緑のイベントとして終わらせるのではなく、脱炭素、環境教育、地域交通、観光、国際交流、郊外部のまちづくりなどにどうつなげるかを考える必要があります。

子どもたちの学びにつなげること
大阪・関西万博では、子どもたちの招待事業や国際交流プログラムが実施されました。
横浜グリーンエキスポでも、市内の子どもたちが環境、自然、食、農、国際交流、未来の技術について学ぶ機会にしていくことが重要です。
そのためには、教育委員会や学校現場とも連携し、参加の機会をできるだけ広く確保することが求められます。
まとめ
1.大阪・関西万博では、大阪府市が共同で推進体制を構築し、会場整備、運営、交通、広報、レガシーを横断的に進めていました。
2.会場建設費や関連予算については、費用の全体像を整理し、公表することで透明性の確保に努めていました。
3.交通対策では、鉄道の増便に加え、TDMにより通勤時間帯の混雑緩和を図る取組が行われていました。
4.機運醸成では、SNS、ウェブサイト、街中の装飾、ドローンショー、インフルエンサーの活用など、多様な手法が組み合わされていました。
5.子どもたちの招待事業や国際交流、スタートアップ支援など、開催後のレガシーを意識した取組も進められていました。
横浜市においても、横浜グリーンエキスポを一過性のイベントで終わらせるのではなく、交通対策、子どもたちの学び、地域経済、環境政策、国際交流、まちづくりにつなげていくことが重要です。
柏原すぐるとしても、今回の視察で得た知見を踏まえ、横浜グリーンエキスポが横浜市の未来につながる事業となるよう、引き続き議会で議論を深めてまいります。

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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる

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