横浜市 敬老パス制度に潜む不公平|制度の温存は誰かの負担増で成り立っています
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。
横浜市の敬老パス制度は、昭和49年に年間2.9億円だった事業費が、今では140億円規模となりました。ご高齢者の外出を支えることに加え、地域交通などへの利用機会拡大も重要だと考えます。しかし、制度の持続可能性の観点から、大きな問題があります。

3月2日の健康福祉局の予算審査で、敬老パス制度の見直しについて質疑を行いました。本稿では、議会でのやり取りを中心にお伝えします。
敬老パス制度の現状
現在の敬老パスは、70歳以上の市民が市民税の課税額に応じて年額0円〜20,500円の負担で、地下鉄や市営バスに乗車できる制度です。
一見すると高齢者にやさしい制度ですが、問題は、年間5,000回以上使用しても定額で乗り放題という点です。燃料などの物価高騰、運転手・整備士の賃金上昇、運賃の値上げがあるにもかかわらず、利用者の負担は変わっていません。
さらに、昨年度の常任委員会資料では、約1割の利用者が全体の利用回数の約4割を占めることが示されています。利用状況にこれだけの偏りがある中で、制度全体のコストを誰が負担しているのか──全く利用していない他の市民の負担が増えるばかりです。

制度見直しの論点はすでに整理されている
実は、敬老パスの見直しに向けた論点は、すでに整理されています。
2019年度の「本事業のあり方に関する検討専門分科会」の答申では、「利用者負担の引き上げの必要性」「応能負担の強化」「上限設定を含む応益負担の検討」など、具体的な課題と方向性が示されていました。

利益に応じて負担を求める「応益負担」、資産を含め負担できる人には負担してもらう「応能負担」──この両面から制度の見直しを早期に図るべきです。
また、昨年の予算審査の議決に際しても、「本市・交通事業者・利用者の3者の適正な負担による制度の持続性確保を重視し検討を進めること」という付帯意見が付されています。
にもかかわらず、批判の少ない微修正が続いてきたのが実態です。
議会で質しました
バス事業者負担金単価だけの見直し──なぜ他の改革が進まないのか
新年度予算では、バス事業者への負担金単価を135円から141円に見直すことが示されました。局長に見直しのプロセスと根拠を質したところ、各バス事業者の運賃と敬老パスの利用回数による加重平均を基準運賃とし、一定の割引率と事務負担の割合を乗じて算出したとの答弁でした。
では、なぜバス事業者負担金単価のみを先行して見直したのか。局長の答弁は、「運転手不足や燃料費の高騰など、バス事業者の厳しい経営環境を背景としたバス協会からの要望や、各バス事業者の運賃改定状況を踏まえた」というものでした。
バス事業者の経営環境を踏まえた対応は理解できます。しかし、2019年の答申で示された利用者負担の見直しや応益負担の検討は、一体いつ進むのでしょうか。
「検討を進める」──いつまでに何を出すのか
敬老パス見直しに向けた検討の工程表を示すべきだと求めました。
局長の答弁は、「モニター調査や市民アンケートに加えて、介護保険データや敬老パスの利用実績データなど、効果検証に必要なデータの収集を進めている」「検証結果については、できる限り早期にお伝えしたい」というものでした。
これまでも「介護予防効果の分析を行う」「経年的にデータ収集を行い、結果を踏まえて負担の在り方を含め検討する」といった趣旨の答弁が繰り返されてきました。しかし、具体的な期限も判断基準も示されないまま、いったい何年かけるのでしょうか。
多数回利用への対応は
上限回数の設定や応益負担など、多数回利用への対応についても質しました。局長は「利用回数に大きな差があることは認識している」「効果検証を行う中で多数回利用の状況についてもしっかり分析し、今後の制度検討に活かしていきたい」との答弁でした。
効果検証の分析設計は具体的なのか
介護予防効果をどう分析し、制度設計にどう結び付けるのか、具体的な分析設計を質しました。局長からは、「敬老パス保有者と未保有者を比較し、外出頻度の増加などの行動変容や、利用回数が要介護認定率に与える影響などを分析したい」「将来的な介護給付費の抑制効果などを評価する」との答弁がありました。
方向性は示されたものの、アウトカム指標の具体化、非利用者の対象や属性の設定、何年分のデータが必要なのか、検証結果を制度設計にどう接続するのか──疑問は依然として残ります。分析設計が曖昧なままでは、効果検証の結果が制度の負担の在り方の議論に結び付きません。
不公平な実態を真摯にお伝えすることが責務
私自身の父親も要介護となり、ご高齢者を支える思いは強いです。ですが、不公平な実態を真摯にお伝えし、理解を求めることは議員としての責務だと考えています。
重要な制度だからこそ、課題を先送りせず、期限と判断基準を明確にした上で制度を再設計し、現役世代・将来世代を含む市民に説明できる形で結論を出すことを、議会の場で強く求めました。
世代に関わらず課題を共有し、将来世代に対する責任を共に果たすため、今後も率直にお伝えいたします。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる

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