横浜市の市民税は日本一高いというのは本当か?【横浜市長選挙2026】
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

「横浜市は市民税が日本一高い」。そんな話を耳にすることがあります。今回は個人の市民税に絞り、全国共通の住民税の仕組みと、横浜市・神奈川県が上乗せしている税を分けて確認します。法人市民税は、別記事「横浜市の法人市民税はなぜ他都市より安くなるのか?大阪市・名古屋市と比較」で整理しています。
個人への市独自の上乗せは、横浜みどり税の年900円です。神奈川県の上乗せもありますが、どの自治体が高いかは、比較する税の範囲や課税所得によって変わります。
2026年10月14日確認。主に2026年度(令和8年度)の制度を説明します。以下の所得割は給与所得などの総合課税の基本税率です。株式・土地建物の譲渡などの分離課税は別の税率です。
住民税の基本は「所得割」と「均等割」
日常的にいう住民税は、市民税と県民税を合わせたものです。前年の所得などに応じて課税され、基本的にその年の1月1日に住んでいる自治体に納めます。
所得割は、収入から給与所得控除や必要経費、各種所得控除を差し引いた課税所得に税率を掛け、税額控除を反映して計算します。均等割は、課税対象となる方が定額を負担する部分です。「年収」と「課税所得」は異なります。
| 基本の区分 | 市民税 | 県民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 所得割:政令指定都市 | 8% | 2% | 10% |
| 所得割:その他の市区町村 | 6% | 4% | 10% |
| 均等割:標準 | 年3,000円 | 年1,000円 | 年4,000円 |
横浜市の市民税が8%で、ほかの市の市民税が6%だからといって、それだけで横浜が高いとは言えません。政令指定都市への税源移譲によって、市と県の配分が違うためです。合計の標準税率は、どちらも10%です。
ただし、これは全国共通の「標準」の仕組みです。自治体による上乗せや減税があるため、全国の実際の税額が完全に一律という意味ではありません。
出典:横浜市:個人の市民税・県民税について / 神戸市:住民税(市県民税)の税額の計算方法
課税自主権とは? 横浜市が独自に上乗せできる仕組み
自治体は、地方税法の枠組みの中で、条例によって税率などを定めます。標準税率を上回る税率を定めて課税する方法が「超過課税」です。課税自主権の活用には、法律に定められた税目に上乗せする方法のほか、法定外税を設ける方法などもあります。
横浜みどり税は、市民税の均等割に上乗せする超過課税です。独立した法定外税を新設したものではありません。また、市が自由に無制限に増税できるという仕組みでもありません。
出典:横浜市:横浜みどり税の概要 / 大阪府:課税自主権の活用
個人には、市の年900円と、県の上乗せ
| 誰が課すか | 税・区分 | 標準からの上乗せ | 主な使い道 |
|---|---|---|---|
| 横浜市 | 横浜みどり税 | 年900円 | 樹林地・農地の保全、身近な緑の創出など |
| 神奈川県 | 水源環境保全税 | 年300円+課税所得の0.025% | 水源環境の保全・再生 |
| 国 | 森林環境税 | 年1,000円(住民税と併せて徴収) | 森林整備などを支える財源 |
森林環境税は国税です。全国で課されるため、横浜市だけが独自に上乗せしている税には含めません。
横浜市に住む課税対象者の基本的な負担は、市民税の所得割8%・均等割3,900円と、県民税の所得割2.025%・均等割1,300円です。これに国の森林環境税1,000円が加わります。
市・県の標準からの上乗せ相当額は、年1,200円+課税所得×0.025%です。
出典:横浜市:個人の市民税・県民税について / 横浜市:横浜みどり税の概要 / 神奈川県:水源環境を保全・再生するための個人県民税の超過課税について / 神戸市:住民税(市県民税)の税額の計算方法
| 課税所得の例 | 横浜市の上乗せ | 県の上乗せ | 市・県合計の上乗せ相当額 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 900円 | 300円+250円 | 1,450円/年 |
| 300万円 | 900円 | 300円+750円 | 1,950円/年 |
| 500万円 | 900円 | 300円+1,250円 | 2,450円/年 |
上表は税額控除・端数処理等の前の単純計算です。非課税・軽減などに該当する場合は異なります。横浜みどり税は市民税均等割が非課税・軽減される方には課されません。900円は「1世帯」ではなく、課税対象者1人あたりの年額です。
水源環境保全税は継続しますが、2027〜2031年度は所得割の上乗せが0.025%から0.018%に下がります。均等割の上乗せ300円は継続します。課税所得300万円なら、市・県の上乗せ相当額は年1,950円から年1,740円になります。
出典:横浜市:個人の市民税・県民税について / 神奈川県:水源環境を保全・再生するための個人県民税の超過課税について
「日本一高い」と断定できない理由

個人の市民税だけを比べるのか、県民税も含む住民税を比べるのか。均等割を比べるのか、所得割も含めた負担を比べるのか。条件を明らかにする必要があります。
例えば、兵庫県豊岡市では、市民税の所得割が6.1%で、県民税4%と合わせて10.1%です。市の所得割に0.1%が上乗せされ、さらに県の均等割に800円の上乗せがあります。
出典:豊岡市:市民税
| 自治体 | 所得割合計 | 均等割合計(国税除く) | 課税所得300万円での上乗せ相当額 |
|---|---|---|---|
| 横浜市 | 10.025% | 5,200円 | 1,950円 |
| 神戸市 | 10% | 5,200円 | 1,200円 |
| 豊岡市 | 10.1% | 4,800円 | 3,800円 |
税額控除などを反映する前の比較では、同じ課税所得300万円で、豊岡市の上乗せ相当額が横浜市を上回ります。神戸市は、均等割の合計では横浜市と同額です。上乗せがあることは事実ですが、それをもって「横浜市が誰にとっても日本一」とする説明は正確ではありません。
なお、豊岡市は2028年度課税分から個人市民税所得割の超過課税を廃止することをめどに調整する方針を示しています。この比較は2026年度の制度によるものです。
出典:横浜市:個人の市民税・県民税について / 神奈川県:水源環境を保全・再生するための個人県民税の超過課税について / 豊岡市:市民税 / 神戸市:住民税(市県民税)の税額の計算方法 / 豊岡市:2026年8月28日 市長総括説明
個人の上乗せは、横浜市の財源としてどのくらい?
横浜みどり税全体の税収は、2026年度当初予算で約30億円です。そのうち個人の負担分が約19億円、法人分が約11億円です。税収相当額を横浜市みどり基金に積み立て、樹林地・農地の保全や身近な緑の創出などに活用します。
水源環境保全税は神奈川県全体で年約42億円(2022〜2026年度の計画上の年額規模)です。横浜市だけの収入額ではありません。2027〜2031年度は県全体で年約40億円の規模を見込んでいます。
横浜市の財源全体では、個人市民税と固定資産税が大きい

横浜市公表の2026年度の当初実収見込額で見ると、市税全体は9,779億円です。主な内訳は次のとおりです。
| 税目 | 当初実収見込額 | 市税全体に占める割合(市公表) |
|---|---|---|
| 個人市民税 | 4,863億円 | 49.7% |
| 固定資産税 | 3,134億円 | 32.1% |
| 都市計画税 | 676億円 | 6.9% |
| 法人市民税 | 637億円 | 6.5% |
| その他 | 469億円 | 4.8% |
| 合計 | 9,779億円 | 100.0% |
その他には市たばこ税231億円、事業所税202億円、軽自動車税35億円、入湯税約0.9億円などが含まれます。各数値は丸められているため、単純合計が一致しない場合があります。
みどり税などの上乗せ分は、すでに市民税の金額に含まれています。市税全体に追加して足すと二重計上になります。
この表は「当初実収見込額」であり、決算額ではありません。当初予算計上額9,759億円とは、市税収入の留保分20億円のため異なります。数値の基準をそろえるため、表・画像では当初実収見込額を使用しています。
出典:横浜市:令和8年度市税収入 / 横浜市:令和8年度予算案 資料編(計数資料)4〜5ページ
大切なのは、負担の必要性と、暮らしへの効果を検証すること
「日本一」という言葉だけでは、どの税を、誰が、どのくらい負担しているのかが見えにくくなります。まずは全国共通の標準部分、市独自の上乗せ、県独自の上乗せを分けることが、議論の出発点だと考えます。
私は2023年の議会質疑でも、行財政改革によってみどり税の延長を避けられなかったのか、一般財源で賄えないのか、税率や期間を見直せないのか、鶴見区など緑が少ない臨海部にも効果が届いているのか、という点を問いました。
上乗せにより財源を確保するのであれば、使い道や成果、地域ごとの受益を説明し、歳出改革や財源の見直しも含めて必要性を検証することが欠かせません。市民の皆さまのご負担が、暮らしの質の向上として実感できる形で返っているか。引き続き、数字と実態を確認してまいります。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団
柏原すぐる

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