横浜の市民サービスを守れるか。「財政基盤の強化」と政治家のボーナス

横浜の街並みと暮らしを描いたイラスト。横浜の財政、市民サービスを守れるか。財政基盤の強化と、政治家のボーナス。

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

原沢あつみ新市長は、選挙中のReHacQ討論会で「財政基盤の強化」を最も取り組みたいことに挙げました。暮らしを支えるサービスを将来も守るために、私も重要な課題だと考えています。

だからこそ注目したいのが、市長や議員自身のボーナスを、これからどう判断するのかです。

以下は、人事委員会勧告と同じ支給月数の引上げを特別職にも行った場合の試算です。引上げの決定を伝える記事ではありません。

関連記事:ReHacQ討論会|7候補の政策と注目のやり取り

市民サービスを守るために、横浜の財政を知る

子育て、福祉、防災、道路や学校の維持管理。その土台となる財政の課題を、二つの数字で見てみます。

見るべき数字は、二つ。

① これまでの積み重ね:減債基金の積立不足
② これから毎年生じる見込み:年間の収支不足

性質も時点も異なるため、足し合わせて「赤字総額」とすることはできません。

① 借金返済への備えが、3,264億円不足

減債基金は、市債の返済に備えて積み立てるお金です。横浜市は公債費の財源不足などに対応するため臨時的に活用し、2024年度末の積立不足は3,264億円となっています。

財政調整基金の不足や市債残高そのものとは異なります。直ちに返済不能という意味ではありませんが、将来の返済への備えが不足している状況です。

図解|減債基金の臨時的な活用とは

本来の役割
毎年積み立て、将来の市債返済に備える

↓

財源が足りないとき
将来の返済に備えた基金を、当面の公債費等に前倒しで活用

↓

残る課題
その年の資金繰りを支えても、将来への備えの不足が残る

仕組みを簡略化した概念図。減債基金と財政調整基金は別の基金です。

図1|減債基金の積立不足額の推移 各年度末・累計の不足額(億円)

2019年度2,657億円
2020年度2,891億円
2021年度2,849億円
2022年度2,988億円
2023年度3,127億円
2024年度3,264億円

棒の起点は0、共通の上限は3,500億円。不足額を正の大きさで表示しています。

出典:横浜市「基金」資料、70〜71ページを基に作成。

② 将来は、毎年の収支不足も拡大する見込み

横浜市は2022年に「財政ビジョン」を策定しています。しかし、2025年12月更新の長期財政推計でも、少子高齢化に伴う社会保障経費の増加や、長期的な税収減少などにより、収支不足が広がる見通しです。

図2|将来の年間収支不足〈主要3時点〉 2025年12月更新・中位推計(億円/年度)

2030年度308億円
2040年度661億円
2065年度1,663億円

棒の起点は0、共通の上限は1,800億円。各年度の不足額で、累計ではありません。一定の前提による推計であり、確定した将来の赤字額ではありません。

出典:横浜市「長期財政推計(2025年12月更新版)」14ページを基に作成。

前回推計より収支不足は縮小していますが、将来に向かって不足が拡大する構造は残っています。サービスを守るには、事業の効果と優先順位を見直し、安定した財源を確保する必要があります。

市長や議員のボーナスを抑えるだけで解決する規模ではありません。それでも、市民に見直しへの理解を求める政治が、自らの待遇をどう判断するかは、改革への信頼に関わります。

議員の年間ボーナスは、昨年度より22万740円増える試算

今年4月から、横浜市会議員の月額報酬は95万3,000円から98万2,000円に引き上げられました。期末手当は月額報酬を基に計算するため、支給月数が同じでも、この改定だけで年間16万1,820円増えています。

さらに、年間の支給月数を4.65か月から4.70か月へ、0.05か月引き上げた場合は、年間5万8,920円が上乗せされます。

議員1人当たり 年間の期末手当(税引き前)
2025年度 531万7,740円
2026年度・今回の引上げをしない場合 547万9,560円
2026年度・0.05か月引き上げた場合 553万8,480円
引上げた場合の昨年度との差 22万740円増

計算は「月額報酬×1.2(職務段階別加算)×年間支給月数」です。昨年度との差22万740円のすべてが、今回の0.05か月分によるものではありません。

市長については、月額164万7,000円を基に同様に試算すると、年間の期末手当は919万260円から928万9,080円へ、今回の改定分として9万8,820円増える計算です。これは同じ月額・年間在職を前提とした制度上の試算であり、途中就任した新市長ご本人の今年度の実際の受取額を示すものではありません。

職員の処遇改善と、政治家の待遇は分けて考える

職員の人材確保や民間との給与水準の均衡を図ることは必要です。一方で、市長や議員のボーナスまで同じように引き上げるべきかは、市民生活や財政状況を踏まえて別に判断すべきだと考えます。

私たちの会派は、これまでも議員報酬や期末手当の引上げに反対し、金額と議決結果を公表してきました。しかし、引上げは賛成多数で可決されてきました。

新市長や他会派との協議を通じて、今回の引上げを見送る選択肢を具体的に検討する必要があります。原案での据置きや、引上げ案が提出された場合の修正も含め、議会側にも責任があります。

過去の記事:政治家の報酬は上げるべき?市民に負担を求める時代に、政治の姿勢を問う

国や他自治体にも、政治家の待遇を抑える判断がある

国では、2025年12月の法改正により、国会議員を兼ねる首相・閣僚等に対し、議員歳費に上乗せされる行政側の給与を当分の間支給しない措置が取られました。議員としての歳費等は別であり、無給という意味ではありません。

大阪市も、市長の給料月額を40%減額し、期末手当にも反映しています。2026年4月時点の公表資料では、年収は減額前約2,824万円に対し、減額後約1,694万円です。

制度は異なりますが、公務員の給与改定と政治家自身の待遇を切り分けて判断する事例として、横浜でも参考にすべきだと考えます。

出典:衆議院・特別職給与法等の改正法/大阪市・特別職の報酬等(2026年4月1日時点)

財政基盤の強化を、具体的な判断で示す

事業や補助金・委託の効果、公共施設の維持更新、将来の税収。財政全体に向き合うとともに、政治家自身の待遇も問い直す必要があります。

原沢市長が掲げた「財政基盤の強化」を、具体的な判断にどうつなげるのか。今後示される議案と、私たち議会の判断に、引き続き注目していただきたいと思います。

私自身も、議員報酬の一部を寄付しています

私は「身を切る改革」として、議員報酬の一部を被災地支援や子どもたちへの支援などに寄付し、実績を公表しています。能登半島地震の緊急支援への20万円の寄付も、その一つです。

自分自身も当事者であることを忘れず、報酬・手当の制度見直しに取り組み、判断の理由と結果をお伝えしていきます。

本記事は2026年10月23日時点で確認した資料に基づきます。横浜市の期末手当額は試算で、今回の条例案・支給額の確定を示すものではありません。アイキャッチ作成:ChatGPT Work(AI)。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

日本維新の会横浜市会議員団

柏原すぐる

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