【視察報告】兵庫県の公益通報者保護制度から考える横浜市の組織ガバナンス強化
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。
以下、会派視察をご報告いたします。
はじめに
兵庫県を訪問し、公益通報者保護制度の運用状況と、通報者保護の実効性を高めるための取組について説明を受けました。
公益通報制度は、職員などが法令違反や不適切な行政運営に気づいた際に、安心して通報できる仕組みです。単に「通報窓口を設ける」だけではなく、通報した人が不利益を受けないこと、調査や判断が公平に行われること、制度そのものが職員から信頼されることが重要です。
横浜市においても、ハラスメント対応や不適切事案への対応を含め、行政組織としての透明性と信頼性をどのように確保するかは大きな課題です。今回の視察では、兵庫県が取り組む外部専門家によるモニタリング制度や、通報者の匿名性に配慮した運用から、多くの示唆を得ることができました。

視察先
視察先
兵庫県
説明者
兵庫県県政改革課
視察テーマ
公益通報者保護制度の運用と透明性確保について
視察内容
視察全体のポイント
今回の視察で特に重要だと感じた点は、公益通報制度を「形式的な窓口」ではなく、組織の健全性を保つための仕組みとして位置づけている点です。

兵庫県では、通報者が不利益を受けないようにするため、外部弁護士窓口の活用、情報管理の徹底、人事部門との情報分離、外部専門家によるモニタリングなど、制度の信頼性を高める工夫が重ねられていました。
また、通報件数が一定程度あることを、単に「問題が多い」と見るのではなく、職員が声を上げられる環境があるかどうかの指標として捉えている点も印象的でした。
1.通報者を守るための制度設計
公益通報制度において最も重要なのは、通報した人が不利益を受けないことです。
兵庫県では、内部通報だけでなく、行政機関や報道機関などへの外部通報についても、一定の要件を満たす場合には保護の対象として整理しています。
また、通報者を特定しようとする行為や、通報を理由とした不利益な取扱いを防ぐため、職員向けの周知や研修にも取り組んでいます。
制度があっても、「通報したら人事評価に影響するのではないか」「上司に知られるのではないか」という不安があれば、実際には機能しません。兵庫県では、こうした心理的な壁を下げることを重視していると感じました。

2.外部専門家によるモニタリング制度
兵庫県の大きな特徴は、外部専門家によるモニタリング制度を導入している点です。
弁護士、公認会計士、大学教授などの外部専門家が、通報事案への対応や受理・不受理の判断、調査の進め方、制度全体の運用状況を確認する仕組みです。
これにより、行政内部だけで判断が完結するのではなく、第三者の視点から制度運用の妥当性を確認することができます。
特に、幹部職員や人事部門に関係する事案、利益相反が疑われる事案では、内部だけで対応すると通報者の不信感が残りやすくなります。外部専門家が関与することで、制度への信頼性を高める効果があると考えられます。
3.人事部門と通報窓口の情報分離
公益通報制度では、人事部門との関係も重要な論点です。
ハラスメントや職場環境に関する通報では、人事部門が関係する場合があります。一方で、通報者からすれば「人事に知られたくない」「処遇に影響するのではないか」という不安を持つこともあります。
兵庫県では、通報窓口と人事部門の情報共有を必要最小限にとどめ、やむを得ない場合を除いて、通報者と人事部門が直接やり取りしないよう配慮しているとのことでした。
これは、通報者の信頼を守るうえで非常に重要な視点です。制度上は相談できることになっていても、実際に安心して相談できるかどうかは、情報管理のあり方に大きく左右されます。
質疑応答
Q1.通報件数が増えることを、どのように受け止めているのか
A.通報件数が全くない状態は、必ずしも健全とは言えないとの考え方が示されました。
匿名通報の導入や制度周知が進むことで通報件数が増えることは、職員が声を上げやすくなっている面もあります。重要なのは、件数の多寡だけでなく、通報内容が適切に受理され、必要な調査や是正につながっているかどうかです。
Q2.ハラスメントに関する通報は、どのように扱っているのか
A.ハラスメントについては、基本的には人事部門の相談窓口が対応する一方、人事部門への不信感がある場合や、人事部門での対応が困難な場合には、公益通報の窓口でも受け付けるとのことでした。
ハラスメントは、閉鎖的な空間で起こることが多く、物的証拠が乏しいため、調査が難しい分野です。そのため、相談者や周辺関係者への丁寧な聞き取り、外部専門家の関与、情報管理の徹底が重要になります。
Q3.外部弁護士窓口はどのように活用されているのか
A.外部弁護士窓口を設けることで、通報者が行政内部の窓口だけでなく、より匿名性の高い窓口を選べるようにしています。
通報者が外部窓口を選んだ場合、その後の確認や追加質問も外部窓口を通じて行うなど、通報者の不安をできるだけ軽減する運用がされています。
横浜市への示唆
今回の視察を通じて、横浜市としても学ぶべき点が大きく3つあると感じました。
1.通報者保護を制度の中心に据えること
公益通報制度は、単なる不祥事対応の仕組みではありません。
職員が不適切な事案に気づいたとき、安心して声を上げられる環境を整えることは、行政組織全体の健全性を守ることにつながります。
横浜市においても、通報者が不利益を受けないこと、通報者探索が行われないこと、情報管理が徹底されることを、制度の中心に据える必要があります。
2.第三者の視点で制度運用を確認すること
通報事案の受理・不受理、調査方法、是正措置の判断を、行政内部だけで完結させると、市民や職員から見て透明性に課題が残る場合があります。
兵庫県のように、外部専門家が定期的に制度全体をモニタリングする仕組みは、横浜市にとっても参考になります。
特に、幹部職員や人事部門が関係する事案、ハラスメントに関する事案では、外部の視点を入れることで、調査の公平性と制度への信頼性を高めることができます。
3.制度を職員にわかりやすく周知すること
制度が整っていても、職員が内容を理解していなければ活用されません。
「どこに相談すればよいのか」
「匿名で通報できるのか」
「人事部門に知られるのか」
「通報後にどのような流れで調査されるのか」
こうした点をわかりやすく示すことが重要です。
横浜市でも、ホームページや庁内システム、研修資料などを通じて、通報制度の流れや通報者保護の仕組みをより明確に伝えていく必要があります。
まとめ
今回の兵庫県視察では、公益通報者保護制度を実効性あるものにするためには、制度設計だけでなく、運用の透明性と職員からの信頼が不可欠であることを学びました。
1.公益通報制度は、組織の健全性を守るための重要な仕組みです。
2.通報者が不利益を受けない環境づくりが、制度運用の前提になります。
3.外部専門家によるモニタリングは、制度の透明性と信頼性を高めるうえで有効です。
4.人事部門と通報窓口の情報分離は、通報者の心理的安全性を守るために重要です。
5.制度を機能させるには、職員への継続的な周知と、わかりやすい情報提供が欠かせません。
横浜市においても、公益通報制度やハラスメント対応のあり方は、行政組織の信頼に関わる重要なテーマです。柏原すぐるとしても、通報者が安心して声を上げられる仕組みづくり、そして市民から信頼される横浜市役所の組織運営に向けて、引き続き議会で議論を深めてまいります。

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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる

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