【横浜市長選2025】選挙公報から読み解く!6人の候補者の政策比較ガイド。わかりやすく数字や背景を解説します
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

今回は横浜市長選挙候補者の選挙公報から政策を比較して、実際の数字など横浜市議だからこそ把握している情報で補足していますので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、全員分の選挙公報はこちらです↓
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/senkyo/data/mayor/0803kohosya_koho.files/0051_20250720.pdf
横浜市長選2025 立候補者一覧(届け出順)
(いずれも届け出上は「無所属」です)
順位 | 氏名(ふりがな) | 年齢 | 主な肩書・特徴 | 公式ウェブサイト |
---|---|---|---|---|
1 | 山中 竹春(やまなか たけはる) | 52歳 | 現職横浜市長/元市立大学教授 等 | 公式サイト |
2 | 高橋 徳美(たかはし のりみ) | 56歳 | 元横浜市議会議員(4期)/現場主義重視 | 公式サイト |
3 | 田中 康夫(たなか やすお) | 69歳 | 作家・元長野県知事/「脱お役所」志向 | 公式サイト |
4 | 斉藤 直明(さいとう なおあき) | 60歳 | 元メーカー勤務/拉致被害者支援/民間感覚強調 | 公式サイト |
5 | 小山 正武(こやま まさたけ) | 76歳 | 野菜卸販売業会長/地域経済強調 | 公式サイト |
6 | 福山 敦士(ふくやま あつし) | 36歳 | 起業家・元甲子園球児/3児の父/経営者視点の改革派 | 公式サイト |
今回は届け出順の逆から紹介いたします。
⑥福山あつし候補の政策を解説!“けずる・増やす・投資する”の三本柱で横浜を立て直す

36歳・3児のパパ/元甲子園球児/経営のプロ という肩書を掲げる福山あつしさんは、「横浜市民第一主義」を前面に出し、財政危機への具体的対策と成長戦略を打ち出しています。
🔻政策の三本柱
① けずる【ムダな支出の徹底削除】
- 市長報酬カット(ボーナスゼロ、退職金ゼロ)
- 聖域なき歳出改革:無駄な支出を徹底排除
- 市長選の時期を地方選に合わせて選挙コストの削減
➡️「痛みを伴う改革」にも踏み込む姿勢。横浜市の財政赤字(将来の500億円不足)に対する“見える化”と“行動”を訴えています。尚、横浜市ではこの赤字のことを「年間の収支不足額」として、財政ビジョンに示しており、2060年にはこの収支不足が1,750億円になることが(中位推計で)予想されています。
② 増やす【1,000億円の経済政策】
- 宿泊税の導入によるインバウンド収益の最大化
- 横浜証券取引所の創設/スタートアップ資金循環の創出
- 営業局の創設:市内アセットの徹底活用
➡️ 「都市型ベンチャー資本主義」への転換を志向。自治体レベルでの資本市場創出など、異色の政策が光ります。実現性が問われますが、横浜市は人口一人当たりの市内総生産では政令指定都市で17位であるなど経済政策に課題があるのは間違いありません。
③ 投資する【未来をつくるこどもたちへ】
- ビジネス教育導入:起業家マインド育成
- あたたかくて楽しい給食の整備(自校調理の検討も?)
- ボール遊びのできる公園整備:「禁止」から「推奨」へ
➡️ 単なる福祉拡充ではなく、教育を通じた“未来への投資”を強調。公園のボール遊び推進など、現場目線の子育て政策も。
💡筆者コメント
福山候補の特徴は、単なる“ムダ削減”だけでなく、“成長戦略”をセットで語っている点です。宿泊税や営業局創設、証券取引所構想など大胆ですが、斬新な視点。特に、行政の“営業力”に注目した点は、企業経営経験者ならでは。組織の設置は可能と思いますが、税は徴収する額や方法も含めて検討に時間を要します。また、証券取引所など民間のプラットフォームへ横浜市がどれほど関与できるかは未知数です。
⑤小山正武候補の政策を解説!「3つの政策+3つのゼロ」で横浜を変える

76歳/野菜卸売業会長という経歴をもつ小山正武さんは、市民生活目線の実行力と行政コスト削減を訴えるスタイルです。掲げるスローガンは「3つの政策と3つのゼロで横浜を変える!」。
🔻3つの政策(重点分野)
① 防災
- 市内すべての小中学校体育館を耐震強化・防災拠点化
- 災害時の避難所機能として「市民食堂」を整備
- 体育館の厨房・防災備蓄施設を拡充
➡️ 災害多発時代を意識し、「教育施設=地域防災拠点」という考え方を明確に提示しています。とはいえ、小中高特別支援学校で505校ある横浜市においては既に学校建て替えに関する基本方針で70年以上の長寿命化を見込み財政負担や工事量の平準化を図っており、年間に建て替えができるのは数校で、少なくとも構想から建て替え完了まで5.6年は要します。
② 子育て
- 自校方式での中学校給食を実現(調理室設置)
- レベルの高い給食提供をめざす
- 子育て費用の無償化に向けた政策も訴求
➡️ 既存のデリバリー型からの脱却を図り、温かく質の高い給食を通じた教育・健康支援に注力。ここは他の候補とも似通った主張です。
③ 経済
- 横浜市内企業への発注を推進(地元経済優先)
- 商品券の配布・地元店舗の支援を強化
- 豊かな市民生活を「地元で回す」仕組みづくり
➡️ 横浜市内経済の内需循環を重視。地域企業の支援と市民の暮らし支援をセットで打ち出すのが特徴ですが、商品券発行には財源が新たに必要です。(コロナや物価高の臨時交付金があった際は、全額国費からレシ活や商店街活性化策を行っています)
🔻3つのゼロ(削減方針)
- 市長退職金ゼロ
→「財政負担を減らすために不可欠」と主張 - みどり税廃止
→ 効果や使途が不明瞭として見直しを主張 - 敬老パスの自己負担ゼロ
→ 負担軽減で高齢者の移動を支援
➡️ コスト削減・再分配強化という両輪のバランスをとる政策姿勢ですが、この3つの金額感は次の通りです。
市長退職金が約3,500万円(任期4年に対して)であるのに対して、みどり税が年間約30億円(住民は一人当たり900円/年)の税収減。
また、敬老パスは現在の事業費が137億円で、そのうち約20億円の利用者負担を令和7年度に見込んでいますので、20億円の収入減です。
💡筆者コメント
小山候補は、長年の実業の現場感覚をもとに、「コストを削りながらも、必要な福祉・防災・教育投資は惜しまない」バランス型の政策を展開していますが、街頭演説や討論会などで、新たに発行する2,000億円の市債を財源として考えており、これが財政上の将来世代へのツケの先送りにならないか留意が必要です。
④斉藤直明候補の政策を解説!「減税と改革」でヨコハマをアゲイン。

60歳/元自動車会社勤務/民間感覚での改革志向
斉藤直明さんは「今こそ、減税!」をキャッチフレーズに、市民の生活実感に寄り添う税と改革を訴えています。
🔻柱となる政策スローガン
💴 減税と改革断行!
- 住民税の5%減税+みどり税(市独自の法定外税)の見直し
- 市長給与は「年収800万円」で十分と明言
- 教育委員会の隠ぺい体質を批判、教育改革を掲げる
- ふるさと納税制度の見直し(「浜っ子の思いを横浜に納税できる制度へ」)
➡️ 市民の「納めた税がどこへ行くのか」に対して厳しい目を向け、市政の透明化・効率化を強く訴えています。
住民税5%減税は、名古屋市で100億円規模の税収減のレベルです。また、みどり税は年間30億円規模です。
また、横浜市長の報酬は月給:1,588,000円 × 12か月 = 19,056,000円、期末手当(ボーナス):8,826,480円(職務段階別加算込み)、合計:27,882,480円ですので、約2,000万円受け取らないと同義です。
ふるさと納税制度は総務省所管の国の制度であるため、横浜市としては要望に留まる可能性があります。
🛡 横浜市民の暮らしと命を守る
- 防災・減災で「共助」の仕組みを推進
- 民生委員の待遇改善と負担軽減
- 睡眠時無呼吸症候群の検査支援など健康政策
- 市内介護人材・福祉士・保育士の資格取得を後押し
- 福祉施設の補助拡充も主張
➡️ 「高齢化社会に即した生活支援策」を重視し、福祉分野の現場負担を減らす視点も見られます。
⚓ 港ヨコハマの更なる発展へ
- 新本牧ふ頭整備・3大アライアンス港湾への推進
- 横浜マラソンを世界8大マラソンの1つに育てる提言
- 若手アーティストの育成・発信拠点としてのストリートアート推進
➡️ 国際港湾都市・横浜のポテンシャルを最大限に生かす都市ビジョンも提示。インフラと文化をつなげる戦略が特徴です。
💡筆者コメント
斉藤候補は、現場で40年以上働いてきた経験から「行政コストへの感度」が高く、市民生活の実態に即したメニューを並べているのが特徴です。特に、ふるさと納税制度や市民税の大幅な減税に触れている点は、他候補にはあまり見られない個性です。ただ、経済政策など横浜市の更なる発展に向けた構想の観点では弱い印象です。
③田中康夫候補の政策を解説!「ヨコハマの活力を前に。」

68歳/作家・元長野県知事・元衆議院議員
田中康夫さんは、「脱お役所」的発想で、横浜の教育・福祉・税制度に抜本的な転換を訴えています。
🔻掲げる主な政策(公報より)
🌱 1. 横浜みどり税の即時撤廃
- 「住民に説明されない使途」に疑問を呈し、即時廃止を明言
- 市民負担の見直しを政策の出発点に
🏫 2. 自校調理方式の学校給食導入
- 衛生・安全・温かさを重視した給食の実現へ
- 教育環境としての給食改革
👨👩👧 3. 「児童生徒・保護者の視点」に立った教育行政へ大転換
- 教育委員会中心の上意下達型から、現場目線への転換
- 学校・家庭・地域の連携強化を重視
👵👶 4. 宅幼老所の全区開設(子と高齢者の共生)
- 高齢者の知恵と乳幼児の元気を分かち合う小規模福祉施設
- 高齢者と子どもが共に過ごす空間の整備
💰 5. 「連結決算」の導入
- 川崎市民と同等の税負担感にするため、外郭団体を含めた透明な会計方式へ
- 「財政の見える化」を徹底
🤝 6. 協働予算の導入
- 市会議員(18区)・市職員(約5万人)と連携した参加型予算へ
- 市民協働の具体化・合意形成プロセスを制度化
💡筆者コメント
田中康夫さんの強みは、「既存制度を問い直す力」。元長野県知事としての経験に加えて、二度目横浜市長選挙の挑戦とあって、独自の視点で税や教育行政の構造に踏み込んでおり、「脱お役所」「参加型行政」という方向性を市民に問う姿勢が鮮明です。宅幼老所の構想など、他候補にない政策が多くあります。
横浜みどり税の使途については、「過去の公共事業の返済に使っている」との言説があるようですが、こちらのブログで使途等を詳しく解説していますので、ご興味のある方はご覧ください。少なくとも議会には説明され、使途は公表されていると認識しています。
②高橋のりみ候補の政策を解説!「市民ファースト」で安全・安心な横浜へ

56歳/元横浜市議(4期)/柔道二段/市民運動派
高橋のりみさんは、「パワハラ市政NO! 健全な市政にYES!」と明言し、14年の議員経験をもとに、市民目線の再構築を訴えています。
🔻経験に基づく政策の柱
1. 教育・子育て
- 児童虐待・いじめ対応を最優先課題に(1丁目1番地)
- 中学校給食の充実(「YOKOHAMAスマイル給食」構想)
┗ 温かい食缶方式の導入を公約
2. 健康・福祉
- 市民の身体と心を守る福祉行政
- 高齢者や障がい者にも寄り添った市政を強調
3. スポーツ・交通インフラ
- 多様な運動・スポーツ環境の整備
- 環状4号線、地上中南部線など交通ネットワークの見直し
- 安全な移動環境と防災対応を兼ねた道づくり
4. 経済と未来戦略
- 宿泊税を活用して横浜経済の活性化
- GREEN×EXPO2027の成功を都市成長のチャンスに
- 地域事業者と連携した経済戦略
5. 行政改革と市職員の意識改革
- 教員の質・モラル向上
- 市職員の意識改革と異動の見直し
- 区や地域に合わせた「近くにいる行政」を目指す
💬 筆者コメント
高橋候補は、議員時代から「現場主義」を掲げ、子ども・高齢者・防災・交通といった“暮らしの基盤”を細かく整えてきた行動力のある実績派。
「給食の温かさ」や「交通の途切れ改善」など、生活者視点に立った訴えが特徴です。14年の市議経験と地域を切り開いてきた経験による学びで市政への理解は随一ではないでしょうか。なお、現職の山中市長がパワハラ市政であるか否かはエビデンスの確認ができていませんが、異動が早いことによって中期長期的な目線での職務遂行を難しくさせている点は指摘に値すると思われます。
①山中竹春候補の政策を解説!「ヨコハマの好循環を、もっと。」

52歳/現職市長/元横浜市立大学医学部教授
山中竹春市長は、1期4年間の実績を前提に、「好循環の深化」と「さらなる成長・発展」を掲げて再選を目指しています。
🔻1期目の実績(公報より)
子育て・教育
- 小児医療費ゼロ(中学3年まで)
- 基礎的出産費用ゼロ
- 待機児童ゼロ(2013年以降初)
- 中学校給食の全員喫食を2026年度から開始予定
公共サービス・安全
- 公園の全面禁煙化
- 防犯カメラ・防災灯の増設による防災強化
- 市の手続きの約9割をオンライン化
- 夏休み学童保育で昼食提供
財政・経済
- 市独自の指標で「財政健全化」:4年間の削減効果645億円
- 過去20年で最大の人口転入超過:+18,802人(2024年)
- 観光客数3,773万人、観光消費額4,564億円(2024年)
- 企業進出(新設法人)も最高記録更新
➡️ 横浜市の予算が年間4兆円(特別会計、公営企業会計を含む)近くあり、それを4年執行してきたため、誰よりも実績があって当然ではありまして、他都市比較すると、実績と言っても横浜市の数字があまり良いものではないケースもあります。(例えば、人口転入超過数は、人口当たりでみると千葉市や川崎市の半分以下)
また、前回市長選挙で掲げた公約に関しては、敬老パスの75歳以上の無償化が実現していません。(免許返納やモニター調査の協力者が無償になる施策を今年度実施中)
🔻2期目の挑戦
子育て・教育
- 医療費無償化を18歳まで拡大
- 図書館リノベーション、大型遊具整備
- 英語・数学・プログラミングなどの先端教育充実
- 特養ホームの入所待機期間短縮
交通・都市整備・防災
- 地域交通アクセス改善(直下型・海沿い・豪雨対応の避難環境充実)
- 上下水道インフラの老朽更新
- 「すぐそばで活かす」循環型都市の形成
- 空間創出:海辺空間と山下ふ頭の再開発
- EXPO・国際大会対応/世界都市化
- AIを活用し市民の声を行政に反映
💬 筆者コメント
山中候補は、データ分析をベースに、財政健全化や子育て支援などを“政策として制度化”する実績を残してきました。ただし、課題も残っており、例えば中学校給食の「冷たいデリバリー方式」は改善要望があり、それを受けて他の候補者の多くが政策にも掲げています。
また、市議会議員の一人としての願いとしては、現職だからこそ市民にとって耳の痛い話(事業費137億円の敬老パス維持のために2011年以来据え置きの利用者負担が増えますetc)を選挙戦で訴えて、当選したらその課題解決に全力を注ぐべきだと考えます。
耳障りのよい、配ります、減税しますといった甘言を語る政治が全盛の中で、本来現職としての政治力を使うべきは「困難な課題の克服」に対してではないでしょうか。
【候補者比較】横浜市長選 候補者討論会
さらに候補者の理解を深めたいと言う方には候補者本人の発信に加えて、討論会の視聴もお勧めします。
① 【ReHacQ 主催】横浜市長選 討論会
最近はYouyubeで最も政治を盛り上げていると言っても過言ではないReHacQ高橋さんが司会を担うフラットで本音ベースの討論会。候補者の素の部分や、政策への思いがよく見える内容です。
ReHacQ_横浜市長選2025_政策比較表
2025年横浜市長選における5人の候補者(高橋、田中、斉藤、小山、福山)の政策が比較されています。
https://drive.google.com/file/d/1Gc7agng0ELWmXZQ1VFYghhZJXsbv1goB/view



② 横浜市長選 合同個人演説会 公開討論会
2025年7月26日開催。合同個人演説会という形式の公開討論会です。こちらも現職の山中市長は欠席です。
📝 おわりに 〜横浜の未来、ちょっとだけ考えてみませんか?〜
今回の横浜市長選挙、どの候補も「子育て」「防災」「交通」「税金の使い方」など、身近なテーマを掲げています。
難しく考えすぎなくても大丈夫。
「この人、なんかいいかも」でも、「この政策なら生活がよくなりそう」でもOK。
ちょっと気になった候補のホームページをのぞいたり、選挙公報を見比べたりして、
自分なりの「推し」を見つけて、1票に込めてみませんか?
もちろん、候補者本人の資質などきっちり見極めて投票することも大事です。
📅 投票日は8月3日(日)!
🗳 期日前投票は7月21日〜8月2日まで。
💡 入場券がなくても、本人確認ができれば投票できます◎(本人確認書類も不要です)
横浜がどうなるかは、他の誰かじゃなく、私たちの手にかかっています。
「選挙、ちょっと行ってみようかな」
そんな気持ちになったら、もう未来は少しずつ変わりはじめています。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる
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