【視察報告】宮城県立図書館|ICTと空間、そして公共の価値を考える ~横浜の図書館整備に向けて~

📅 視察日:2025年8月7日(木)10:00~
📍 宮城県仙台市泉区・宮城県立図書館

こんにちは。横浜市会議員の柏原すぐるです。

この日は、宮城県泉区に位置する「宮城県立図書館」を訪問し、県の図書行政や図書館サービス向上の取組について学びました。


生涯学習と読書活動の情報拠点としての機能

宮城県立図書館は、県民の学びと暮らしを支える中核的な図書館として、多様なサービスを展開しています。

  • 一般図書室、子ども図書室、音と映像のフロア
  • 展示室、多目的ホールなど、目的別に使える空間の整備
  • 高齢者から子どもまで、幅広い世代に対応した図書館設計

さらに、地域資料の収集・保存にも注力しており、郷土の歴史・文化を学ぶ場としての価値も高く、観光・学習・研究など多様な利用が見込まれています。

🏞 泉パークタウンという立地の特徴

宮城県立図書館は、仙台市泉区の泉パークタウン内に立地しています。
パークタウンは、計画的に整備された住宅・商業・教育施設などが集積するエリアであり、周囲には美しい自然や落ち着いた環境が広がっています。

  • 豊かな緑に囲まれた静かな環境は、読書・学習に最適な空間を提供
  • 周辺には住宅街や大学もあり、子どもから高齢者、学生まで多様な層の利用が見込まれる立地

一方で、都市中心部からはやや距離があり、広域利用の観点からは交通アクセスの課題も指摘されています。
このように、「どのような立地に整備するか」は、施設の性格や利用者層を大きく左右する重要な要素です。

タウンセンターに位置する


ICT・DXの活用によるサービスの高度化

現在は「第4期 宮城県図書館振興基本計画(令和5~9年度)」に基づき、図書館サービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進しています。

  • ICTを活用した利便性向上(検索性、予約、資料提供など)
  • PDCAサイクルと外部評価による運営の質の向上
  • 講座・イベントも積極展開
     例:「図書館の使い方講座」「本の探し方講座」など、利用者の情報活用力を高める取組

デジタルとアナログのハイブリッドで、多様化する県民ニーズに柔軟に応える運営が行われています。


設置者責任とコンセプト設計の重要性

今回の視察では、特に「設置者(県)の方針が図書館の機能を規定する」という点が印象的でした。

  • 県として、どのような公共価値を提供するのか
  • 図書館は“貸出業務”ではなく、“地域を支える社会インフラ”であること

宮城県では「県域ネットワークのハブ」「学校教育との連携」「震災資料の保存と継承」など、県が果たすべき役割を明確に定義し、それに即した事業や空間整備が実現されていました。


利用者属性は立地に依存|アクセス設計の視点も不可欠

担当者からは「実際の利用者は泉区など周辺住民が中心」との説明がありました。これは県立図書館であっても変わらないとのこと。

だからこそ、“広域を対象とした図書館”には、立地の妥当性や交通アクセス、サテライト・オンライン機能の補完などを併せて設計する必要があります。


建設コストと空間の質|未来に残す図書館を

  • 宮城県立図書館は1998年に現在の場所に移転新築
  • 延床約19,000㎡、建設費は約153億円
  • 天井高のある開放的な空間、落ち着いた閲覧エリア、音と映像のフロアなど、多様な空間設計は今でも魅力的で劣化を感じさせません
  • とはいえ、大空間であり決してコスパが良いとは思えない建物の在り方については、これからの時代は見直すべき点である感じます。

横浜市でも、「図書館ビジョン2024」において延床10,000~20,000㎡規模の大規模図書館整備が次のように示され検討されています。

だからこそ、どこに・どのような空間で・どんな機能を持つ図書館を整備するかは、“未来への公共投資”として丁寧に議論されるべきです。


横浜市への示唆|図書館の未来像を描くために

本視察を通じて得られた主な示唆は次のとおりです:

  • 図書館は単なるサービス提供施設ではなく、地域の「学び」と「安心」の基盤
  • 設置者の理念と責任を明確にし、空間・機能・人材配置を整備すべき
  • 建物は「使われる空間」でなければならず、将来世代に誇れる公共施設設計が求められる。物流面での機能が注目される。
  • そのためには、アクセス格差・立地・多様な世代への配慮も不可欠
  • デジタルとアナログの融合が、図書館の新しい姿を形づくる

まとめ|“知と安心”を届ける社会インフラとしての図書館

宮城県立図書館は、未来に残すべき図書館のモデルの一つです。
横浜市でも、図書館が「市民にとって最も身近な学びの場」となるよう、設計思想・空間・事業内容のすべてを、将来の市民のために丁寧に議論・設計していく必要があると感じました。

引き続き、横浜の図書館政策を前に進めるために、議会でも取り上げ、皆さんと対話を重ねていきたいと思います。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会

柏原すぐる

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