【視察報告】岩手県公会堂の保存・活用から考える、横浜市の歴史的公共建築物の未来

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

横浜市会まちづくり委員会の常任視察で岩手を訪れております。以下、ご報告いたします。

大ホールの様子

はじめに

令和8年7月13日、盛岡市にある岩手県公会堂を訪問し、歴史的建築物の保存と現代的な活用を両立する取組について視察しました。

岩手県公会堂は、まもなく竣工から100年を迎える歴史ある公共施設です。

文化財としての価値を守るだけでなく、ホールや会議室として現在も利用しながら、耐震性や設備の老朽化、バリアフリー、利便性の向上といった課題にどのように対応していくのか、説明を伺いました。

横浜市にも、横浜市開港記念会館をはじめ、歴史的価値のある公共建築物が数多く存在します。また、高度経済成長期に整備された学校、市民利用施設、公会堂、区庁舎なども一斉に老朽化しています。

今回の視察は、歴史的価値を次世代へ引き継ぎながら、公共施設として使い続けるために何が必要かを考える貴重な機会となりました。

視察概要

視察日
令和8年7月13日(月)

視察先
岩手県公会堂

所在地
岩手県盛岡市内丸

視察テーマ
岩手県公会堂の保存・活用について

竣工から約100年を迎える岩手県公会堂

岩手県公会堂は、昭和2年、1927年に竣工した鉄筋コンクリート造の公共建築物です。

建築面積は約1,593平方メートル、延床面積は約3,589平方メートルで、平成18年には国の登録有形文化財に登録されました。

戦前期に建設された公共建築として文化的、歴史的価値が高く、現在に至るまで文化芸術活動や地域交流の拠点として利用されています。

単に古い建物を保存しているのではなく、現在も公会堂として使われ続けている点が大きな特徴です。

はじめに

令和8年7月13日、日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会の行政視察で、岩手県盛岡市にある岩手県公会堂を訪問し、「岩手県公会堂の保存活用」について説明を受けました。

岩手県公会堂は、大正から昭和初期に建設された歴史ある公共建築物であり、現在も県民に利用される文化施設として活用されています。一方で、建築から約100年が経過し、耐震性や設備の老朽化、バリアフリー対応など、多くの課題も抱えています。

今回の視察では、「文化財だから残す」のではなく、「次の100年も県民に利用され、愛される施設にする」という考え方のもと、保存と活用を両立させるための取組について学びました。

横浜市でも歴史的建築物や公共施設の老朽化が進む中、今後の公共施設マネジメントを考える上で多くの示唆を得ることができました。


視察概要

視察日

令和8年7月13日(月)

視察先

岩手県公会堂(岩手県盛岡市)

視察内容

岩手県公会堂の保存活用について


岩手県公会堂とは

岩手県公会堂は昭和2年(1927年)に竣工した鉄筋コンクリート造の公共建築物です。

メイン入口 ファサード

当初は県議会議事堂を併設した施設として建設され、その後、議会機能は県庁へ移転し、現在は文化芸術活動や市民交流の拠点として利用されています。

平成18年には国登録有形文化財に登録され、令和8年には盛岡市歴史的風致形成建造物にも指定されました。

現在は岩手県文化スポーツ部が所管し、指定管理者制度により運営されています。


一度は取り壊しも検討された建物

説明によると、平成10年頃には老朽化などを理由に、取り壊しを含めた検討が行われた時期もあったそうです。

しかし、市民や関係者による保存運動などを経て、その歴史的価値が再評価され、現在は「保存しながら活用する」という方向へ転換されました。

歴史的建築物は、一度失われれば二度と取り戻すことはできません。

その価値を次世代へ継承するためにも、「残すか壊すか」という二者択一ではなく、「どう活かすか」を考えることが重要であると感じました。


「次の100年」を見据えた保存活用計画

岩手県では現在、「岩手県公会堂保存活用計画」の策定を進めています。

基本方針は、

「文化財として県民の興味・関心を高め、これまでの在り方を活かしながら、さらに幅広い利活用を実現し、次の100年も県民に愛される公会堂を目指す」

というものです。

単に保存するだけではなく、

  • 利用率向上
  • 文化財としての価値向上
  • 観光・見学利用
  • 地域交流
  • 多目的利用

まで含めて検討されている点が印象的でした。

☆ちょうど、7月13日から岩手県公会堂保存活用計画(素案)についての意見募集がなされています。

https://www.pref.iwate.jp/public_comment/1097882/1100265.html


保存と活用を両立する具体的な取組

保存活用計画では、具体的に次のような方向性が示されています。

建物の公開

貸館利用だけではなく、

建築そのものを見学するための利用も推進します。

館内展示やガイド、近隣施設との連携などを通じて、建物の歴史を知ってもらう取組を進めています。

大ホールの多目的利用

従来のホール利用だけでなく、

床のフラット化や設備更新なども視野に入れ、多目的ホールとして活用できる可能性を検討しています。

未利用スペースの有効活用

現在利用されていない空間については、

  • コワーキングスペース
  • テレワークスペース

など、新しい利用方法も検討されています。

利用者目線の施設整備

文化財としての価値を守りながら、

  • 空調設備
  • Wi-Fi等の通信設備
  • バリアフリー
  • 動線整理
  • 断熱化

など、現代の利用者に必要な設備整備も進める考えです。

保存には多くの課題もある

歴史的建築物の保存は簡単ではありません。

担当者からは、

  • 建築当時の資料が少ないこと
  • 改修できる事業者が限られること
  • 文化財保護法と建築基準法との調整
  • 消防法やバリアフリー法への対応
  • 多額の改修費

など、多くの課題について説明がありました。

また、使用料収入だけでは維持管理が難しいことから、

  • ネーミングライツ
  • 企業版ふるさと納税
  • 指定管理者制度

など、多様な財源確保も検討されています。


質疑応答(主な内容)

Q1 文化財を守りながら、現代の利用ニーズにはどのように対応するのですか。

施設の価値を損なわない範囲で、

  • 多目的利用
  • コワーキング利用
  • 見学利用
  • バリアフリー化

などを進め、利用率向上を目指すとのことでした。

「保存」と「利用」は対立するものではなく、両立を目指すという考え方が印象的でした。


Q2 改修費はどのように確保する予定ですか。

使用料収入だけに依存せず、

  • ネーミングライツ
  • 企業版ふるさと納税
  • 民間との連携
  • 指定管理者制度

なども組み合わせながら、持続可能な運営を目指すとの説明がありました。

老朽化に対して、修繕が間に合っていない状況も確認できました。


Q3 保存活用計画で最も大切にしていることは何ですか。

担当者からは、

「次の100年も県民に愛され、利用され続ける施設にすること」

という言葉がありました。

文化財として保存することだけではなく、「使われ続けること」が建物を守ることにつながるという考え方が強く伝わってきました。


横浜市への提言

今回の視察で最も印象的だったのは、

「文化財を守るために活用する」のではなく、「活用され続けることで文化財として守られる」

という考え方でした。

横浜市でも、

  • 横浜市開港記念会館
  • 大倉山記念館
  • 山手西洋館
  • 旧横浜市庁舎行政棟
  • 旧根岸競馬場一等馬見所
  • 横浜赤レンガ倉庫

など、多くの歴史的建築物があります。

また、高度経済成長期に建設された公会堂や地区センター、学校なども更新時期を迎えています。

今回の視察から、横浜市においても次のような視点が重要だと感じました。

① 保存活用計画を積極的に策定する

老朽化してから対応するのではなく、歴史的価値や活用方法を早い段階で整理し、施設ごとの保存活用方針を定めることが必要です。

② 「貸館」から「地域資源」へ

歴史的建築物を単なる貸館施設としてではなく、

  • 建築ガイド
  • 常設展示
  • 学校教育
  • 歴史まち歩き
  • 観光資源

など、市民や来訪者が建物そのものを楽しめる施設へ発展させることが重要です。

③ 公共施設をアップデートする

老朽化対策だけでなく、

  • Wi-Fi整備
  • バリアフリー
  • 空調設備
  • 多目的利用
  • コワーキングスペース

など、現代のニーズに合わせた改修を進めることで、利用率向上にもつながります。

④ 民間の力を活かした施設運営

指定管理者制度やPPP・PFI、企業版ふるさと納税、ネーミングライツなどを積極的に活用し、財政負担を抑えながら施設価値を高める仕組みづくりが必要です。

⑤ 公共施設マネジメントに「文化」の視点を加える

横浜市では現在、「公共施設等総合管理計画」に基づき施設更新が進められています。

今後は、

  • 老朽化
  • 更新費用
  • 利用率

だけでなく、

「地域の歴史や記憶を未来へどう引き継ぐか」

という視点も加えた公共施設マネジメントが求められると感じました。


おわりに

岩手県公会堂は、約100年の歴史を持つ建築物でありながら、「保存する建物」ではなく、「使い続ける建物」として将来像が描かれていました。

人口減少や財政制約が進む中、横浜市でも公共施設の更新は避けて通れない課題です。

だからこそ、「壊すか残すか」という議論ではなく、「どう活かすか」「どう次世代へ引き継ぐか」という視点を持つことが重要です。

今回の視察で学んだ「保存と活用を両立する公共施設マネジメント」の考え方を、横浜市の歴史的建築物や公共施設の政策にも活かせるよう、引き続き研究と提言を進めてまいります。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


最後までご覧いただきありがとうございました。

日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会

柏原すぐる

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