【視察報告】京都市立京都御池中学校・複合施設整備等事業~横浜市の豊岡町複合施設に活かせることはあるのか?~

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

常任委員会視察の3日目は京都市立京都御池中学校・複合施設整備等事業を視察しました。

京都市立京都御池中学校は、教育・福祉・地域活性化を融合した全国的にも先進的な複合施設として、平成15年4月に開校しました。
少子化による生徒数減少を契機に、市内中心部の3中学校(城巽・柳池・滋野)を統合し、都心部の立地を活かした「まちづくりと連動した学校再編」として整備されたものです。

開校の経緯(20周年のあゆみより)

🏫 学校統合と地域協働による新たな教育モデル

統合にあたっては、地元から統合に向けた要望がある中で、地元が「新中学校設立推進委員会」を設立。学校施設のあり方・地域の将来像について協議が行われました。この過程で「ひとづくり、まちづくりの拠点」「御池シンボルロードのコンセプトへ寄与」「少人数教育への対応」「幅広い学習機会」という施設コンセプトが生まれ、PFI導入の基本方針にこれらの地元提案が反映されています。


🏗 複合施設の構成

  • 地上7階・地下1階建、延床約20,000㎡
  • 敷地面積 約8,400㎡
  • 構成要素:
    • 中学校(京都御池中学校)
    • 乳幼児保育所
    • 老人デイサービスセンター/地域包括支援センター
    • 行政機関・防災倉庫(災害応急物資備蓄)
    • オフィススペース・賑わい施設(レストラン・カフェなど)
    • 駐車場・屋上運動場

御池通に面した1階には商業店舗が入り、地域住民が行き交う**「まちなかの中学校」**として機能しています。

面する通りが広く、ゆとりのある歩行空間にけやきの街路樹など非常に気持ちの良い空間でした。

外壁の石。切り出したままを壁に固定したような迫力ある外装

このような外装をPFI事業の中で「性能」として、どのように規定し、設計して、コスト面含めてどう合意されたのか、これは相当な努力があったと思います。

参考までに、横浜市で進行中の豊岡町複合施設の要求水準書においては、外観計画は以下のように性能を規定しています。

2.3.5.外観計画
・ 「つながる学び舎」という基本コンセプトのもと、「つながり」と「学び」の相乗効果をもたらす学校
・図書館等の複合施設として、本施設を利用する方々の心に残る、また、鶴見駅周辺の新たなランドマークに相応しい施設としてデザインすること。
・ 商業地であることを考慮して、周辺地域へ賑わいが広がるよう、豊岡通りに面したデザインに配慮すること。
・ 市民利用施設エリアに係る入口は、極力豊岡通り沿いの視認性がよい場所に配置し、気軽に入ってみたくなる開放的な設えとなるよう留意すること。
・ 外装等の仕上げは、構造躯体の保護を考慮すること。落下による歩行者への危険の回避にも留意すること。

要求水準書他、入札資料は横浜市HPで確認できます。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/sesaku/gakko/toyooka/toyooka_pfi.html


💡 PFI導入とその効果

京都市初のPFI事業(BTO方式)として実施され、設計・建設・維持管理を民間が担い、運営は市および社会福祉法人が担当した経緯があります。

PFI導入の結果、

比較項目従来方式PFI方式削減額/効果
事業費約90.1億円約63.2億円約26.9億円削減(VFM=29.8%)

約3割のコスト削減と維持管理の効率化を実現しました。現在はPFI事業期間の15年が終了していますが、消費税や物価変動の影響を除いて、当初想定通りにVFMは実現されたようです。


また、24時間体制の維持管理・定期点検など、民間ノウハウを最大限活用した運営体制が確立されています。PFI事業期間が終了した現在は、維持管理業務は横浜市から競争入札で事業者が選定されています。


🌿 地域連携とにぎわい創出

1階には地域商業施設が併設され、「リストランテ・ストラーダ」や「進々堂」などの店舗が、地域住民や観光客の憩いの場として親しまれています。

また、生徒が実店舗で職業体験を行う「生き方探究・チャレンジ体験」など、教育と地域がつながる学びの場としても活用されています。この点では、デイサービスや保育園も同様です。


🤝 学校運営と地域協働の仕組み

地域と学校が協働する「けやきプロジェクト」では、

  • 学校運営協議会(理事会)
  • 学校教育支援委員会
  • 地域教育支援委員会
  • 評価委員会

が連携し、地域住民が教育活動や学校運営に継続的に関わる仕組みを築いています。
これにより、学校・家庭・地域が一体となったコミュニティ・スクールの先駆モデルが形成されています。

20年の歩みより。地域の努力を感じる内容です


📊 豊岡町複合施設と比較すると…

一方、横浜市では鶴見区の豊岡小学校の建て替えと合わせて複合化する「豊岡町複合施設」のPFI事業が進展中です。

同じ公立学校の複合化、PFI事業ということで比較すると以下のようになります。

項目京都御池中学校・複合施設(京都市)豊岡町複合施設(横浜市・鶴見区)
事業目的学校統合を契機に教育・福祉・地域活性化を一体化公共施設再編による子育て・学び・地域支援拠点の創出
事業方式PFI(BTO方式)PFI(BTO方式)
事業期間平成16年〜令和3年(約17年)契約締結〜令和29年3月末(約20年)
予定価格約63億円約189億9,606万円(税込)
主要機能中学校(小学6年生を含む)、保育所、老人デイサービス、賑わい施設、防災倉庫 等 延床約20,000㎡小学校(約8,700㎡)、保育園(約900㎡)、図書館(約5,000㎡)、区民活動センター、地域子育て支援拠点(各約270㎡)
整備地京都市中京区御池通沿い鶴見区豊岡町27番1号(豊岡小学校敷地)
コスト削減効果(従来手法との比較 VFM)約29.8%削減約2.5%削減見込み
(PFI委員会試算)
特徴教育・福祉・まちづくり一体の都心型モデル地域生活支援と学びの融合を目指す新拠点
施設コンセプト「人とまちがつながる複合拠点」『つながる学び舎』~地域が居場所になるד学び”で人生を豊かに~

広さはさほど変わりませんが、コスト削減効果や価格に大きな違いがあることが分かります。


✍️ 所感

京都市の御池中学校では、学校統合を「地域再生の機会」と捉えた発想転換が印象的でした。
単なる校舎の建て替えではなく、教育・福祉・地域交流・賑わいを融合した複合拠点として、
今も都心のシンボル的存在となっています。

一方、横浜市でも鶴見区で進む豊岡町複合施設整備が事業者公募段階にあり、小学校・図書館・保育園などを集約し、地域の新たな核となるプロジェクトとして進められています。

京都のように、地域との協働や「まちの顔づくり」の視点を重視することが、この事業の成功に欠かせないと感じました。特に図書館や区民活動支援センターが入りますので、その要素が高まるのも当然です。

今後も経過を注視しながら、新たな地域のシンボルであると共に地域に息づくようなプロジェクトになるよう、私も尽力したいと思います。

説明をうける様子

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最後までご覧いただきありがとうございました。

日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会

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