【視察報告】兵庫県の受動喫煙防止条例から考える横浜市の喫煙対策と横浜グリーンエキスポへの備え

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

以下、視察をご報告いたします。

はじめに

兵庫県を訪問し、受動喫煙防止条例の運用状況について説明を受けました。

横浜市では、路上喫煙対策や喫煙所整備、公共空間における受動喫煙防止のあり方が大きな課題となっています。特に、駅周辺や繁華街、観光地、イベント会場周辺では、たばこの煙だけでなく、ポイ捨てや通行環境への影響も含めて、市民生活に身近な問題です。

また、横浜市では2027年に横浜グリーンエキスポの開催を控えています。多くの来場者を迎える大規模イベントにおいては、会場内外の喫煙対策、交通対策、来場者の動線管理、まち全体の快適性をどのように確保するかが重要になります。

今回の視察では、兵庫県が受動喫煙を「美化・ポイ捨て」の問題ではなく、「健康被害防止」の観点から制度化している点を中心に学びました。

視察先

視察先

兵庫県

説明者

兵庫県保健医療部健康増進課

視察テーマ

受動喫煙防止条例の運用について

視察内容

視察全体のポイント

兵庫県の受動喫煙防止条例は、たばこのポイ捨てやまちの美化ではなく、受動喫煙による健康被害を防ぐことを目的に制度設計されています。

特に、20歳未満の子どもや妊婦など、健康被害を受けやすい方を重点的に守る考え方が明確にされています。

また、学校、病院、児童福祉施設などについては、敷地内だけでなく周囲も含めて禁煙とするなど、国の制度よりも踏み込んだ規定が設けられています。

一方で、家庭内や車内といった私的空間に関する規定については、罰則による強制ではなく、理念や規範を示すことで行動変容を促す性格が強いとの説明がありました。

1.「健康被害防止」としての受動喫煙対策

兵庫県の条例は、受動喫煙を「美化」や「マナー」の問題としてではなく、健康被害を防ぐための施策として位置づけています。

これは、横浜市にとっても重要な視点です。

横浜市の喫煙対策は、駅前や繁華街などの路上喫煙、ポイ捨て、通行環境の改善という観点が強く出やすい一方で、受動喫煙による健康被害をどう防ぐかという観点も欠かせません。

特に、子ども、妊婦、高齢者、持病のある方など、たばこの煙による影響を受けやすい方にとって、公共空間の喫煙環境は日常生活の安心に関わる問題です。

今後の横浜市の制度設計においても、「まちの美化」と「健康被害防止」を分けて整理しつつ、両方の視点を連携させることが重要だと感じました。

2.子どもや妊婦を守るための厳格な規定

兵庫県では、20歳未満の子どもや妊婦を重点的に保護する考え方が条例に反映されています。

学校、病院、児童福祉施設など、子どもや健康上の配慮が必要な方が利用する施設では、敷地内だけでなく、敷地の周囲も含めて禁煙とされています。

また、屋外喫煙区域の設置も認めないなど、国の健康増進法よりも厳しい内容になっています。

この点は、横浜市でも参考になります。

横浜市内には、学校、保育園、病院、福祉施設、公園、駅前広場など、多くの市民が利用する公共空間があります。喫煙所を設置する場合でも、単に場所を確保するだけでなく、子どもや妊婦の動線、施設利用者への煙の流入、周辺住民への影響を丁寧に確認する必要があります。

3.指導中心の運用と、過料執行の限界

条例や制度を設けても、実際の運用では指導や助言が中心になります。

兵庫県では、違反が疑われる場合、まず情報提供を受け、電話連絡や文書送付、個別訪問、協力依頼などを行い、それでも改善が見込めない場合に指導・助言、勧告、公表、命令、過料処分へと進む流れが整理されています。

ただし、実際には、指導や協力依頼の段階で改善されるケースが多く、過料に至る事例は多くないとのことでした。

神戸市の資料でも、路上喫煙禁止地区における過料処分の実績が示されており、制度の実効性を確保するためには、ルールを作るだけでなく、巡回、声かけ、表示、周知、喫煙場所の整理を組み合わせることが重要であることが分かります。

横浜市においても、過料を取ること自体が目的ではありません。大切なのは、喫煙者にも非喫煙者にも分かりやすいルールを示し、現場で実効性のある運用を行うことです。

質疑応答

Q1.兵庫県の受動喫煙防止条例は、なぜ「美化」ではなく「健康被害防止」として整理しているのか

A.兵庫県では、条例制定の背景として、国の努力義務だけでは受動喫煙防止の目標達成が難しいとの認識がありました。そのため、たばこのポイ捨てやまちの美化ではなく、受動喫煙による健康被害を防ぐことを目的に条例を整備したとの説明がありました。

横浜市でも、喫煙対策を考える際には、「ポイ捨て対策」と「健康被害防止」を混同せず、それぞれの目的に応じて制度を整理する必要があります。

Q2.家庭内や車内での喫煙防止は、どのように運用しているのか

A.家庭内や車内については、私的な空間であり、行政が直接介入することには難しさがあります。そのため、罰則による強制ではなく、倫理観や配慮を促すことで、一定の行動変容や被害軽減を期待する規定になっています。

この点は、条例の限界でもありますが、同時に社会全体に「子どもや妊婦を受動喫煙から守る」というメッセージを示す効果があります。

Q3.加熱式たばこは、どのように扱っているのか

A.兵庫県では、加熱式たばこについても、有害性への懸念が残ることから、紙巻きたばこと同様に扱っています。加熱式たばこ専用室の設置も認めていないとの説明がありました。

一方で、神戸市の路上喫煙禁止に関する資料では、加熱式たばこや電子たばこは過料処分の対象外とされつつ、喫煙所など決められた場所で吸うよう協力を求めています。

加熱式たばこの扱いは自治体によって差があり、横浜市でも、市民に分かりやすいルールづくりが求められます。

その他、視察にあたっての質問回答はこちらです。丁寧にご回答をいただきました。

横浜市への示唆

1.「健康」と「美化」を分けて制度設計すること

横浜市の喫煙対策では、路上喫煙、ポイ捨て、駅前環境、受動喫煙防止など、複数の課題が重なっています。

しかし、それぞれの目的は少し異なります。

1.受動喫煙防止は、健康被害を防ぐための施策です。

2.ポイ捨て対策は、まちの美化や環境保全の施策です。

3.路上喫煙対策は、歩行者の安全や快適な通行環境にも関わります。

横浜市としては、健康福祉部門、資源循環・環境部門、道路・まちづくり部門が連携しながら、役割分担を明確にすることが必要です。

2.横浜グリーンエキスポを見据えた喫煙環境の整理

横浜グリーンエキスポでは、多くの来場者が横浜を訪れることになります。

会場内だけでなく、最寄り駅、バス乗降場、歩行者動線、周辺道路、観光地への回遊など、広い範囲で喫煙対策を考える必要があります。

喫煙を単に禁止するだけでは、かえって路上喫煙や周辺への滞留が発生する可能性もあります。どこで吸えるのか、どこでは吸えないのかを明確に示し、適切な喫煙場所の配置、案内表示、誘導、清掃、交通対策と一体で検討することが重要です。

なお、横浜市では横浜市空き缶等及び吸い殻等の散乱の防止等に関する条例の一部改正が6月に可決し、来年1月から施行予定です。

今回、条例の名称も「横浜市屋外の公共の場所における喫煙の防止等並びに空き缶等及び吸い殻等の散乱の防止に関する条例」に変わりました。

横浜グリーンエキスポを一過性のイベントで終わらせるのではなく、快適な公共空間づくりのレガシーにつなげる視点が今後も必要です。

3.喫煙所整備と周知啓発を一体で進めること

兵庫県では、条例の周知啓発として、チラシ、動画、デジタルサイネージ、映画館広告、学校への啓発資料配布など、さまざまな手法を活用していました。

横浜市でも、制度を作るだけではなく、市民や来街者に伝わる周知が重要です。

特に、駅周辺や観光地、イベント会場では、日本語だけでなく多言語表示やピクトグラムの活用も検討すべきです。

また、喫煙所を整備する場合には、煙が外に漏れにくい構造、歩行者動線との分離、周辺住民への影響、清掃体制などを含めて、実効性ある設計が求められます。

まとめ

今回の兵庫県視察では、受動喫煙防止条例を健康政策として位置づけ、子どもや妊婦などを重点的に守る制度設計について学びました。

1.受動喫煙対策は、単なるマナーや美化ではなく、健康被害防止の政策として考える必要があります。

2.子ども、妊婦、病院・学校・福祉施設利用者など、配慮が必要な方を守る視点が重要です。

3.条例や過料制度だけではなく、指導、助言、周知、喫煙場所の整理を組み合わせることが実効性につながります。

4.加熱式たばこの扱いは自治体によって差があり、横浜市としても分かりやすいルールづくりが必要です。

5.横浜グリーンエキスポを見据え、喫煙対策、交通対策、機運醸成、来場者の快適性を一体で考えることが重要です。

柏原すぐるとしても、市民の健康を守りながら、喫煙者にも非喫煙者にも分かりやすく、実効性のある制度となるよう、引き続き議会で議論を深めてまいります。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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