行政の壁を越えて―鶴見川・防災船着場の柵問題と子どもの命【横浜市鶴見区佃野町、佃野町公園そば】
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。
行政の壁を越えて、子どもの命を守る安全対策を
――鶴見川・佃野町防災船着場の柵問題をめぐって――
鶴見川河川敷に整備されている「佃野町防災船着場」。

近隣の保育園児も散歩で訪れるこの場所で、ある保護者から「わが子が実際に柵をすり抜けてしまい、本当に危ない」との声が寄せられました。
現場の柵は内法間隔が約14cmあり、乳幼児が容易にすり抜けられる構造です。

この場所は水深のある河川に直結しており、万一の転落時には命にかかわる重大事故につながりかねません。さらに電車の走行音が大きく、落水に気づきにくい環境でもあります。
「柵があるから安心」と思い込みがちな一方で、逆に大きな落とし穴となっているのが現状です。
これは、住宅のバルコニーなどでは、手すり子(縦格子の棒)の相互の間隔を110mm以下とすることで、幼児の頭が通らないように安全が確保されているために、同様に柵に対して安心してしまうという背景があります。
他都市での事故と国の新基準
全国でも同様の事故は起きています。2021年には横須賀市で2歳の女児が柵をすり抜け転落死する事故が発生しました。
※参考【ニュース記事】横須賀市、護岸に転落防止網設置 2歳女児死亡事故で緊急措置
https://nordot.app/806129490236604416?c=113147194022725109
この事故を受け、国交省港湾局は2023年に「縦格子の間隔は10cm未満」とする新基準を示しています。
※参考:港湾の社会課題に民間ならではのアイデアを提案――横須賀市の港湾施設に、すり抜け防止対策の後付けフェンスを寄贈(横須賀市港湾部×LIXIL)
https://www.biz-lixil.com/column/urban_development/exterior008

しかし、鶴見川の柵については国交省河川事務所が行った対応は「看板設置」に留まっており、市や区役所においても現状は危険性の周知が中心で、抜本的な改善は進んでいません。


国・市・区の対応と課題
私自身も現地を確認した上で、国土交通省京浜河川事務所の管理課長・防災情報課長と面談しました。その結果、以下のことが明らかになりました。
- 船着場は平成10年に設置され、平成19年に現在の柵に更新された。
- これまで地域からの正式な要望は確認されていない。
- 現状は「最大限の対策を講じた」との認識。抜本的改修は難しく、当面は看板や注意喚起で対応。
- 将来的な更新時に仕様見直しの余地はあるが、直ちに改修する計画はない。
つまり、行政内部でも「現状維持」が基本で、すぐの対応は難しいという姿勢が見えてきました。
(河川事務所さんは検討してくださってはいますが、鶴見川が増水した時に漂流物が当たることや、災害時にすぐに取り外しができるなどの機能性の観点など制約の中で適切な対応策がないという状況です。また、すぐに柵を更新するなどの判断には至っていませんん。)
区役所への働きかけと今後の方向性
この問題は「行政の縦割り」に落ち込みやすい典型例です。
土地の管轄では以下のような状況です。利用者は「公園」の延長で利用しますよね。

しかし、守るべきは子どもの命。だからこそ、区役所をはじめとする自治体も国も横断で動く必要があります。
なお、私は区役所に対して以下の要望を行っています。
- 危険性の認識共有と現地確認
- 保育園や保護者への情報提供
- 市・国と連携した安全対策の検討(区長からの意見発信も含む)
- ペイントや啓発活動など地域連携の調整支援
事故が起きてからでは遅い
今回の柵の問題は氷山の一角にすぎません。事故が起きてからの対応では遅いのです。地域の安全を守るには、何よりも市民の声が必要です。
鶴見区の子どもたちが安心して河川敷で過ごせるように。
市民・行政・地域団体が連携し、予防的な取り組みを一歩ずつ進めていきたいと思います。
皆さまからのご意見もぜひお寄せください。
本記事は、2025年9月5日号タウンニュースに掲載した市政報告を詳しく説明したものです。

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最後までご覧いただきありがとうございました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
柏原すぐる

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