【視察報告】オガールプラザ紫波町図書館|ライブラリー・オブ・ザ・イヤー2016大賞の「まちを動かす図書館」から学ぶ(岩手県紫波町)

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

今回は、岩手県紫波町にある紫波町図書館を視察しました。ここは単なる図書館ではありません。図書館を核としたまちづくりを展開し、全国的にも注目を集めるモデルケースです。

その象徴ともいえるのが、「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー2016」大賞の受賞
地域に根差し、暮らしを支え、まちのにぎわいを生み出す図書館として、その革新性と実績が高く評価されています。

受賞時の提案概要(紫波町HPより)

オガールプロジェクトとは?

オガールプロジェクトは、岩手県紫波町が推進する**公民連携型まちづくり事業(PPP)**であり、町有地(旧町営住宅跡地・約4.3ha)を活用して、民間資本・民間ノウハウを導入しながら公共施設と民間施設を一体整備した地方創生モデルです。

図書館を核に、商業・子育て支援・スポーツ・産直・宿泊施設などを複合的に整備し、人口約3万人の町で年間35万人以上が訪れるにぎわいを生んでいます。

「オガール(Ogall)」の名前は、岩手の方言「おがる(育つ)」とフランス語の「gare(駅)」を掛け合わせた造語で、「人が育ち、まちが育つ拠点」という意味が込められています。


人と人がつながる“暮らしの図書館”|紫波町図書館の特徴

紫波町図書館は、次のような特徴を持っています。

✅ テナント先決の空間設計

商業テナントを先に決定し、その導線に合わせて実施設計を行う手法により、「図書館からまちへ、まちから図書館へ」と人が回遊する構造が生まれています。

✅ 「こんにちは」から始まる雑談文化

司書が来館者一人ひとりに声をかける文化が根づいており、「話せる図書館」として市民に親しまれています。

✅ 聞き書きで地域の歴史と文化を記録

住民の人生・地域の記憶を「聞き書き」により記録・保存する取り組みを継続。図書館が“地域のアーカイブ”として機能しています。

✅ 人付き合いのトリセツプロジェクト

個人のコミュニケーション傾向を可視化する「人付き合いのトリセツ」プロジェクトを展開。
成果は町のビジョンにも反映され、共生社会を考えるヒントとなっています。
👉 紹介ページ

✅ 暮らしに役立つ情報発信基地

認知症や医療、子育てなどの生活に直結するテーマで、常設特集を実施。
町内には認知症カフェが7か所も存在しており、図書館が地域包括支援のハブとなっています。

✅ 出張図書館の展開

地域おこし協力隊と連携が発端で出張図書館もスタート。本が人を訪ね、暮らしに寄り添う仕組みがつくられています。
👉 参考:生活綴方@妙蓮寺

他にも様々な特徴がありますので、ぜひご興味のある方は書籍やHP等でお調べください。


見えてきた課題:学校図書館の充実に向けて

紫波町図書館が画期的な一方で、学校図書館の現状には課題も。

  • 専任の学校司書がいない(週2回程度の非常勤)
  • 図書館が常時開館できず、学習環境に支障あり
  • 授業と図書館の連携(司書教諭との協働)が十分でない

学力・表現力・調べ学習の基盤として、学校図書館の充実も今後の地域課題として捉えられています。


横浜市の図書館整備の現状と展望

横浜市には中央図書館を含む18館の市立図書館がありますが、多くが老朽化し、利用者ニーズに十分応えられていない現状があります。
特に滞在・交流型の空間づくりや、市民活動との連携、学校図書館との接続には課題が残っています。

その中で、鶴見図書館は5,000㎡規模で再整備が予定されており、市内でも最大級の図書館となる見込みです。これは単なる建て替えにとどまらず、地域の交流や学び、情報発信の拠点となる「まちとつながる図書館」としての役割が期待されています。

横浜市は「図書館ビジョン」の中で、以下の3つの方向性を掲げています:

  1. 市民とともにつくる図書館
  2. まちづくりと連動する図書館
  3. 学びを支える図書館

今回の視察で見た紫波町図書館は、まさにこの3つを体現した図書館でした。
人口3万人の町でもできているのだから、横浜でもできる。

鶴見図書館をはじめ、今後の図書館整備では、“本を読むだけの場所”ではなく、“人と人がつながる場”“まちの未来をつくる拠点”としての機能を意識した整備が必要です。
紫波町の取り組みを参考に、横浜でも新たな図書館像を実現していきたいと思います。


おわりに|“本のあるまちづくり”を横浜にも

紫波町図書館は「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー2016」の名にふさわしく、地域の未来を拓く場でした。
人と人がつながり、記憶が残され、暮らしが支えられ、子どもから高齢者まで誰もが関われる場所です。

3万人の町でもこれだけ豊かな図書館がある。だからこそ横浜でもできる。

横浜にも「人が集まり、学び合い、語り合える図書館」をつくっていきたい。
紫波町から学んだ知恵と感動を、しっかりと市政に活かしてまいります。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会

柏原すぐる

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