【視察報告】大阪市「分権型教育行政について」2024年8月8日

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

本会議場で会派メンバーと

今回の関西視察の2日目には大阪市役所に伺いました。

視察の狙い

今回の関西への視察において、特に注目したのが大阪市における「分権型教育行政」の取り組みです。横浜市は、377万人の人口を有し、26万人の生徒・児童を抱える全国でも有数の大規模自治体です。同様の規模を持つ自治体は限られており、その中で比較できる規模であるのが大阪市です。

大阪市が約10年かけて推進してきた「分権型教育行政」、特に「ニアイズベター」の考え方に基づいた取り組みにおいて、24ある行政区の区長に教育委員会としてのミッションを与え、校長の裁量を拡大していくという施策が教育にどのような影響を与えているのかを検証し、横浜市の教育行政へ取り入れる方向性が良いのか確かめることが、本視察の狙いでもありました。

教育行政基本条例や学校活性化条例の制定されて経緯がありますので、その後に実際に教育現場や教育委員会はどう変わったか。それを知るために来たわけです。

視察先

  • 大阪市教育委員会事務局 教育政策課

視察内容

視察では、事前にこちらから質問項目をお示しし、主に以下のような内容について詳細な説明をいただきました。実際に区役所において教育委員会の区担当をされていた際のエピソードや現場の様子などもお聞きでき大変有意義でした。

  • 分権型教育行政のメリット: 分権化によって、教育委員会の区担当次長を兼務する区長が教育行政に積極的に関わるようになり、各区や各校のニーズに応じた施策が打てるようになった点が最大のメリットとされています。430校にわたる学校運営を一元管理するのは困難であるため、分権化によって地域に根差したきめ細やかな教育行政が実現しました。
  • 学校現場と教育委員会の連携: 当初、教育委員会と各区の間には壁があり、教育改革がどのように進められるかについて不安がありました。しかし、改革が進むにつれて、校長先生との連携が強化され、支援体制が整ってきました。現在では、区教育行政連絡会や保護者・区民の参画(※区政会議の分科会など各区で設置された区民が教育について意見できる会議がある)が進み、教育施策の透明性が高まっています。
  • 教育委員会の組織と風土: 分権化により、教育委員会の組織とその運営方針にも大きな変化がありました。区担当次長(区長)が教育行政に積極的に関与することで、各区の特性に応じた施策が実施されるようになりました。また、校長の裁量拡大の具体策として、校長経営戦略予算が導入され、各校の自主性が尊重される形で予算が配分されています。これらは地域運営協議会等で地域や保護者にも見える形で執行されています。
  • 教育改革に対するフィードバック: 教育改革に対する学校や教職員からの反応やフィードバックが積極的に取り入れられるようになりました。特に、教育長が双方向型のコミュニケーションを重視しており、教員からの意見提案を受け付ける体制が整っています。
  • 教育の質の改善: 教育の質向上を目指し、大阪市では学力向上に向けた支援事業が進められています。教育委員会は改革の進捗状況を定期的に公開し、学校現場での変化を共有しています。

視察時の説明資料

資料抜粋_分権型教育の仕組み

感想・考察

 視察では、大阪市が進めてきた「分権型教育行政」の具体的な取り組みについて伺いました。特に、24区における区長の役割や、校長の裁量拡大に関する施策が、教育の現場においてどのように実施され、どのような成果を上げているのかを確認しました。

 大阪市の分権型教育行政は、地域に密着した教育施策を推進するための重要な取り組みであり、各区の特性を活かした教育が実現されていることが分かりました。

 横浜市でも分権型教育行政が進められ、4つの方面別教育事務所が設置されていますが、様々な問題が浮き彫りになってる現状では、大阪市にように抜本的にさらなる改革が必要不可欠だと改めて認識しました。(横浜市における区長は教育行政に対する権限をほとんど有しておらず、区配予算には教育予算が含まれていません。)

なお、これに関しては、5月28日の一般質問で「横浜市の分権型教育行政を質し、改めて教育のあり方を抜本的に見直すべき」と伝えています。

今回の視察を通じて、大阪市の分権型教育行政は、地域のニーズに応じた教育施策を推進するための効果的な手法として、教育委員会としても評価していることが分かりました。(教育への政治介入という批判があった経緯からも、実際の教育委員会の声はどうなのか?というのは確かめたかったポイントでもあるわけです。)

今後の横浜市の教育行政の在り方を考える上で、活かしてまいります。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


最後までご覧いただきありがとうございました。

柏原すぐる

LINE公式アカウントで情報発信やご意見・問い合わせの受付を行っています。

ぜひお友達に追加してみてください。


友だち追加

Instagram

X(旧Twitter)

へのフォローもよろしくお願いします。

日頃は、桜木町駅すぐそばにある横浜市役所6階にある議員室にいます。アクセスはこちら

気軽にコンタクトくださいませ。

柏原すぐる公式ホームページ

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Captcha loading...